インタビュー

「この子が家族の絆を繋いでくれた。」福山型先天性筋ジストロフィーの子を持つ 母へのインタビュー(2/2)

筋ジスの子を持つ母、加藤さくらさんのインタビュー続編です

前回は筋ジストロフィーの次女・真心(まこ)ちゃんについて語ってくれたさくらさん。今回は長女・ゆとりちゃんとの関わり方や、“障害児”と“きょうだい児”を育てる母としての今後の想いを語ってくれました。

まずは、加藤さくらさん、ゆとりちゃん、真心ちゃんを知って頂きたく、映画”えがおのローソク”予告編動画をご覧下さい。

きょうだい児はうつ病になりやすい?

【さくら】きょうだい児って知ってる?きょうだいに障害児がいる子。ゆとり(長女)がそれに当たるんだけど。私、このきょうだい児のケアをやりたいと思う。今、きょうだい児のうつ病が注目されてきているの。筋ジス協会に関係している先生も「うつ病で来院する方の状況を伺うと、実は"きょうだい児"という方が多い」と言ってて。

【岡】そうなんだ。それって子供が病院に来るの?

【さくら】いや、10代超えてからじゃないかな。そもそもの原因は"良い子になりすぎてしまった"、とか、"自分が今まで我慢ばかりしてきて、自分自身が分からなくなってしまった"、とからしいの。そういうのもあって、私は真心(次女)の病気がわかってから、真心のケアと同じくらいゆとりのことを気にかけているの。

いい子の仮面を被らなくていいように。でも、自分の役割が分かるように。

【岡】そうなんだ。そしたら、ゆとりちゃんに対して何か特別な対応とか気遣いをするの?

【さくら】特別な気遣いとかはあえてしないようにしている。本人としても、親に気を使われるのは嫌なんじゃないかなと思って。

【岡】うん、それは嫌だね。

【さくら】ゆとりにも真心にも、私自身ありのままの人間として接しているから、どちらにも気遣いはしないようにしている。でも、意識していることはある。必ず、私とゆとりの1人だけの時間を作るようにしているの。真心抜きの、ママ独り占めの時間・パパ独り占めの時間をね。ゆとりが誰にも遠慮せず甘えられて、私も彼女とゆっくり向き合える時間としてね。

【岡】なるほど。今のすごい良いヒントになりそうだよね。僕の知っているNPOの方でさくらちゃんが言ってるのと同様の活動を行っている方々がいるけど、そういうのを知らない方って多いじゃない。そのきょうだい児に対する考え方って絶対大事だと思う。

【さくら】そうだよね。やっぱりどうしても健常なきょうだいの子に「大変なの分かるでしょ、我慢してちょうだい」と言いがちになるよね。それで我慢して良い子でいると「良い子ねー」 と周りからも言われ、その子はだんだん「いい子」の仮面を被るようになってしまう。だから、親が率直に 「お母さん困ってるの~!」というように、ヘルプを出せるといいと思う。「あなたも大切な家族の一員だよ!」 と同じテーブルで話せる関係というか。私が「3番目の子ども欲しいなー」なんて言っちゃうとゆとりは「ちょっと待って!これ以 上は手に負えないから待った!」みたいに言うんだよね。それを聞いた時、ゆとりが真心を助 ける・支える側の一員としての自覚があるからこその言葉だなーと思ったの。 もちろん、彼女の感情・考えもあるからそこも大事にしてる。

【岡】すごいねゆとりちゃん。ちゃんとその家族としての役割を担ってくれているんだね。

【さくら】担ってくれてるよ。私、すぐ気持ちがいっぱいいっぱいになっちゃってイライラしちゃうことがあるんだけど(笑)そうするとゆとりが私のカウンセラーさんになってくれるの。

【岡】あ、そうなんだ。それはさくらちゃんが(ゆとりちゃんに)相談するの?

【さくら】うん、例えば旦那と喧嘩するじゃない。そうするとゆとりが、「ママはパパが話を聞いてくれなくて悲しかったんだね!」とか言ってくれるの。「そうなの!悲しかったのー」みたいな。

【岡】へー!ゆとりちゃんすごい!

【さくら】すごいよね、カウンセラーゆとり。これは、変に子供扱いせず家族の一員としてゆとりに接し続けてきたことと、しっかりゆとりの話を聞く時間を作っているからこそなのかもね。

【岡】そうか。お互いが支え合っているんだね。

【さくら】そうそう。ゆとりにはすごい助かっている。彼女がいなかったら、私今のような子育てできないと思う。

【岡】じゃあ、一方できょうだいがいないで障害児一人を育てているご家庭もあるわけでしょ。そういう場合って、結構お母さんとかに負担が寄っちゃったりしてるんだろうね。

【さくら】そうだね。旦那さんが話を聞ければいいんだけど、働いてらっしゃる関係からなかなかそうはいかないと思うんだよね。だからこそ、第三者でも良いから話を聞いてあげられる存在が必要なんだと思う。アドバイザーではなくて、ただ単に「辛いんだよねー」と言えるような、話しを聞いてくれる人が必要。

【さくら】そういう存在がいることによって、色々な事をすべて乗り越えられるわけではないけど、その場その場だけでも乗り越えることを手助けできると思う。

私の経験が、他の方々の何かに役に立てたらいい。

【岡】これからは、そういう考えとか想いみたいのを伝えていきたいと考えているの?なんか、こういう風にしていきたいとか、今後の展開とか。

【さくら】はい。あります!私、独身時代に心理カウンセラーの勉強をしてたの。でも、その仕事がしたかったわけではなく、当時の職場の人間関係に悩んでいてた私自身がコミュニケーション能力を身につけたくてやってたものでそれを仕事にしようとは思ってなかった。でも、だんだん同じような境遇の方とか色々な方を見ていく中で、私のスキルとか経験が、私だけのものじゃなくて他の方々の何かの役に立てればいいなという想いが出てきたの。今後は、"きょうだい児"と"障害児"を持つ親に対して、親が自分自身を素直に表現することで、大切な家族や周りの方々と温かい人間関係を築けるように、講座やセミナーをお伝えしていくインストラクターをやっていきたいと思っています。


いかがでしたでしょうか。きょうだい児に支えられて行う障がい児の子育て。 自分の娘の寿命があとどれくらいであろうとも、「今」の笑顔を見落とさないように毎日毎日まっすぐ接するということ。そして、その子育て体験をより多くの人に広め発信すること。さくらさんにお話いただいた言葉の一つ一つがとっても前向きで、大きなパワーをいただきました! 「えがおのローソク」、この映画も皆さんに是非観てもらいたいと思っています!(岡)

最後に、障害児を持つご家族の方々にメッセージをどうそ!

岡勇樹(NPO法人Ubdobe代表理事)

この記事の寄稿者

岡勇樹(NPO法人Ubdobe代表理事)

介護のほんねニュース初代編集長。1981年 東京生まれ。3歳〜11歳までアメリカ・カリフォルニア州で生活。27歳で高齢者介護と障がい者支援の仕事を始め、29歳で医療福祉・音楽・アートを融合させた「NPO法人Ubdobe」を設立。近年は厚生労働省 介護人材確保地域戦略会議の有識者やNHK出演など多岐に渡る活動を展開中。(http://ubdobe.jp)

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