「介護に特化したSNS」未来の介護に孤独はなくなる

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2016.03.16
介護に特化したSNS

「Kaigo Letter」とは?

4月リリースを目前に現在開発中の、介護に特化したソーシャル・ネットワーキング・サービス「Kaigo Letter」。サービスが生まれた経緯や広がる未来への可能性を、Kaigo Letterチームの3人にお話をお聞きしました。

介護者を支えるための機能

【深澤】それでは、本題に入るまえに自己紹介をお願いします。代表の石井さんから。

【石井】はい。私は現在、東京大学大学院工学系研究科に所属しており、半導体の研究をしています。インターンとしてコンサルティングのベンチャー企業で、新規事業開発のコンサルティングやコーチングを行っています。

【高野】私は、IT関連会社でデザイナーとして働いています。主に、提供しているサービスのWEBサイトやチラシなどのプロモーションデザインの企画&制作に関わっています。また、プロボノ(専門知識・スキルを活かしたボランティア活動)で、NPOの制作物のデザインや広報のお手伝いをしています。

【近藤】普段は業務用のiOSアプリケーションの設計・制作をメインに、Androidアプリケーション・WEBシステム・WEB制作等、手広くプログラムに関わる業務を行っております。

【深澤】ありがとうございます。みなさん普段のお仕事は別々なんですね。それでは、Kaigo Letterとはどのようなものですか?

【石井】はい、最初にご説明したいことは、Kaigo Letterには「自宅で介護をする人とその家族のためのアプリ」と「デイサービスのためのアプリ」の2種類があり、2つのアプリが連携するということです。そしてそれぞれに、”情報共有の機能”と”思いやりを贈り合う機能”の2つの機能があります。

【深澤】2種類のアプリと2つの機能ですね。詳しく教えてください。

【石井】まず「介護者とその家族のためのアプリ」にある情報共有のための機能から。こちらは、介護される方の基本情報、デイサービスからの連絡ノート、日報や通所日程・入退院などのスケジュールが家族間で共有ができます。家族が介護状況を把握することに、家族は送迎など自ら手伝いを申し出ることができる環境を作り出すことができます。またメッセージも送ることができます。職員と家族、そして家族間でメッセージが送れます。デイサービスと密に連携することで介護職員からサポートを受けられるようになっています。

情報共有の機能

次に、「デイサービスのためのアプリ」にある情報共有のための機能は、利用者の管理、スケジュール、日報の管理、個人の利用記録、家族との連絡ノートなどがiPadで一括管理することができ、今まで記入や転写、集計などにかかっていた時間が大幅に削減できるようになっています。

【深澤】なるほど。それではもう一つの、思いやりを贈り合う機能とは?

思いやりを贈り合う機能

【石井】はい。この思いやりを贈り合う機能が最大の特徴となっています。家族間では「思いやりバッジ」をコメントとともに贈り合えたり、介護している人から家族へ「助けてバッジ」を送ることができます。
また、デイサービスの利用者の家族からデイサービスの職員へ感謝の気持ちとして「思いやりバッジ」をワンクリックで贈ることができます。

介護経験者の一言から生まれたアイデア

【深澤】気持ちを表すアプリといったところですかね。どのような経緯で、Kaigo Letterが生まれたのでしょうか?

【石井】Kaigo Letterは様々な偶然が重なることで生まれました。Kaigo Letterのアイデアが生まれたのは、昨年の5月です。私が通年生として参加している東京大学の「i.school」で、介護に関するワークショップが開かれ、そこに参加したのがきっかけでした。

【深澤】すみません、その「i.school」とは?

【石井】i.schoolは東京大学のイノベーション人材の育成を目的とした、東京大学知の構造化センターが主宰する教育プログラムです。ここでは様々なワークショップを通じて、現実社会において解決が困難な問題やそれを取り巻く複雑な状況に直面した時に、創造的な課題を設定し、解決アイデアを創出するプロセスを主体的にデザイン出来るようになることを目的としています。

【深澤】ありがとうございます。話を戻してください(笑)

【石井】はい(笑)そこで家族の介護を経験した方のお話を聞く機会がありました。そこにいた一人の方が、「私はラッキーだったから介護を楽しめたんだよ」と仰っていたのがとても印象的でした。

【深澤】何が「ラッキー」だったのでしょうか?

【石井】その方は、「家族がいつも手伝いに来てくれた。それに本人は認知症だったけど、いつも笑顔でいてくれたんだ」そうおっしゃいました。

【深澤】良い関係のご家族だったのでしょうね。

【石井】またそのワークショップで、在宅介護の現状や介護をしている人をサポートするサービスが非常に少ないことを知りました。そして介護で大変な思いをしている多くの方を、どうすればこの方のように、明るい介護ができるのだろうかと考えました。その時にKaigo Letterのアイデアが生まれました。

【深澤】明るい介護とは?

明るい介護

【石井】介護される本人の幸せだけではなく、介護する側の幸せも考えなければならない。そういうことなのかなと。

事業化とクラウドファンディング

【深澤】そうですね。では、アイデアを形にして事業化へ進むまでは?

【石井】事業化へのきっかけは、ワークショップから1週間後に行われた「Startup Weekend」というビジネスコンテストに参加したことです。このコンテストは、週末の3日間でアイデアから事業の立ち上げまでやっちゃおうというイベントです。参加者は40~50人くらいで、まず他の参加者の前で自分のアイデアを1分間ピッチします。そしてアイデアをブラッシュアップし、最終日に優勝者を決めるというイベントです。

【深澤】おもしろそうなコンテストですね。

【石井】そこでKaigo Letterのアイデアを発表したら、その会場にいたデザイナー高野ともう一人プログラマが仲間になってくれ、なんと優勝することができました。自分と同世代の参加者が多い中で「介護」というテーマに関心を持ってくれる人が少なく、正直一番苦戦したのが仲間集めでした。(笑)
メンバーに恵まれたおかげで、審査員満場一致で優勝することができました。

【深澤】おおお!それはすごいですね!高野さんは、なぜ誘いを受けたんですか?

【高野】アイディアのビジョンが明確でした。それにまだ日本にはほとんどないサービスというところに価値を感じたからですね。

【石井】このコンテストを通して事業化への道を具体的にイメージすることができました。結局、そのときのプログラマは、本業が忙しくなってしまい離れてしまうことに。現在は、私の親友の近藤がプログラマとしてジョインしています。

【深澤】開発にかかる資金は、クラウドファンディングを利用されたとお聞きしましたが。

【高野】はい、2015年8月に寄付型の資金調達であるクラウドファンディングを行いました。クラウドファンディングを行った一番の理由は、介護経験者やデイサービス経営者などの声を直接聞きに行く調査を行うためです。できる限り多くの意見が聞くことで、ユーザーに寄り添った価値の高いサービスが提供できます。それに、ご支援とともに強い共感を示してくださる方の声も私たちの支えになっています。

【深澤】強い共感ですか。

【高野】印象的だったのは、私たちと同世代の方からご支援と応援の声をいただいたことです。
介護は、若い世代には実感しにくい問題です。しかし若い世代の中にも、強い共感を示してくださる人がいることで、介護の未来に可能性を感じました。

【深澤】それで資金調達は目標額まで到達できましたか?

【高野】おかげさまで、多くの方からご支援を受けることができました。そして、その多くの方にお話を聞かせていただくこともできました。私たちのチャレンジを支えてくださった方へ感謝の気持ちを届けるためにも、必ず介護している人を支えることのできる価値あるサービスを実現します。

生産性ではなく、人を中心に置いたシステムを

【深澤】なるほど。資金調達も無事に到達されたと。それでは、高野さんと近藤さんに質問です。代表の石井さんはどんな人ですか?高野さんから。

【高野】社会課題の解決にとても向いている人だと感じています。人の持ってる、矛盾した複雑な感情から逃げずに向き合うことができるからです。常に冷静で合理的ですが、他者の非合理な状況を無視することはありません。非合理に対して徹底的に向き合えることは、課題が複雑化している社会問題への挑戦に必要なスキルだと思っています。

【深澤】なるほど。近藤さんは?

クラウドファンディング

【近藤】彼とは10年来の付き合いで、その人と成りはよく知るところです。彼が代表だからこそKaigo Letterに実現可能性を感じ、参加したといっても過言ではありません。彼にいつも感じている事は、その思慮深さと問題解決への執念深さです。単に頭が良いだけでなく、しつこいまでに問題の本質を探る彼の姿勢があってこそ、Kaigo Letterのコンセプトが生まれたのだと思います。彼が舵をとれば、必ず介護の世界を明るくすることができると、心から信じています。

【深澤】信頼が厚いのですね。それでは、Kaigo Letterについてはどう思われていますか?高野さんのお気持ちは?

【高野】Kaigo Letterに対しては、一刻も早く世の中に提供したいと思うくらいの価値を感じています。なぜなら、今の日本には介護している人に対する制度やサービスが不十分ということを知ったからです。「誰もやらないなら私たちがやらなきゃ!」くらいの使命感を持っています。

【深澤】勢いがありますね(笑)近藤さんお願いします。

【近藤】私がKaigo Letterに感じたのは、システムで家族介護、ひいては人の気持ちのケアができるかもしれないという可能性です。既存のシステムは、多くが人間の作業を代替する為のもので、そこで考慮されるのはいかに生産性を上げるかでした。またSNSなど、出来事や気持ちをシェアする仕組みもありますが、そこでの中心はあくまで独立した各ユーザーであり、誰かをサポートする為の仕組みには成りえていません。
Kaigo Letterは、これら既存のモノでは実現できなかった、家族介護を実現できると感じています。介護される人と介護に従事している家族を、みんなで支えケアし最後の時間を共有する。人間を中心に置いた素晴らしい仕組みが出来上がると思います。

【深澤】たしかに、人を支えるためのSNSですね。現状の介護で何か感じることはありますか?

【石井】私は、家族との最後の時間である介護が、暗い話題として取り扱われていることはおかしいと思います。なので、介護を明るいものに変えたいと考えています。そのためには介護されている人の幸せはもちろんですが、その方を介護する方やその家族全体のことを考えなければならない、全員の協力が必要と考えています。

【深澤】介護を明るいものに変えたいと。では変えるために、みなさんが大事にしていることは何ですか?

【石井】私たちが最も大事にしていることは、ユーザーの声に耳を傾け、ユーザーに寄り添うことです。デザインシンキングの考え方でもある人間中心デザインであることに最も重きを置いています。

【近藤】私もです。常にユーザーの目線・ユーザーの気持ちを想像し、それを確認することですね。最近のデザイントレンドの影響もありますが、開発者の目線だけで画面や仕組みを作っていくと、どうしても洗練されたモノ・カッコイイモノを追求してしまいがちです。

【高野】大事にしているのはチャレンジと感謝の気持ちです。チャレンジせずに思っているだけでは何も始まらないからです。Kaigo Letterはコンセプトに共感した時点で、すでに形にしたいと思っていました。また、新しいことにチャレンジするということは、たくさんの方の協力や応援が必要不可欠です。

未来の介護のカタチ

【深澤】頼もしいですね。それでは、Kaigo Letterの未来を教えてください。どうなりますか?

Kaigo Letter

【石井】Kaigo Letterの機能はしている人とその家族の絆を深めること、家族全体で協力して介護を行えるようになる事を目的としています。ですので、介護とは、介護している人一人に負担が大きくかかるものではなく、介護している人をサポートしながら家族みんなで行うものへと変わります。そして、それはシステム上だけではなく、人との繋がりにより社会全体で支えるものへとさらに広がります。

【深澤】スマートフォンがそれを可能にしてくれます。現時点では始めたばかりで壮大な話ですが、実現性を高く感じます。期待しています。

【石井】家族で協力する体制ができたら、ゆくゆくは介護している人同士を繋げることやデイサービスだけでなく介護に関わる全ての人をつなげていきたいと考えています。

【深澤】最後に、介護のほんねニュースは、介護に携わる多くの方々が閲覧されています。何かメッセージなどありますか?

【石井】現在、Kaigo Letterのベータ版を家族で使ってもいいよという在宅介護者様と介護についてインタビューをさせていただける在宅介護者様、そしてKaigo Letterの試験導入をしていただけるデイサービスなどの介護事業所様を募集しています。もし少しでも興味がございましたら、ご連絡いただけたら幸いです。
私たちは、本気で「家族との最後の時間である介護を明るくしたい」をいう強い意志を持って動いています。それを実現するためには、便利な機能だけでなく、人と人との心の距離を近づけるための絆を深める機能が不可欠であると確信しています。
ご協力を宜しくお願いいたします。

リンク
ホームページ:http://kaigoletter.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/kaigoletter/

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寄稿者

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深澤裕之(LifePicks代表)

介護事業所向けにホームページ制作やメディア戦略コンサルティングを行う。介護の魅力的な道具を伝えるWEBメディア「グラムケア」、介護用品オンラインショップ「グラムケアストア」を運営。介護専門職の総合情報誌「おはよう21」制作ディレクター。コーポレートサイト