「老後破産」とは?
高齢者の数が3200万人を越えた日本。核家族化などが進み、そのうち600万人が一人暮らしをしています。さらにそのうち半数の300万人は、生活保護水準以下の収入しか得ることができていません。こうした人の多くは支出に収入が追いつかない“破産”状態にあると言われており、こうした問題をNHKでは「老後破産」と呼びました。出典:NHKスペシャル 老人漂流社会 "老後破産"の現実
「老後破産」の背景
どうしてこのような状況になっているのでしょうか?一つ一つ背景を見ていきます。年金が足りない
高齢者のほとんどが、年金だけで暮らしています。
自営業だった人など、国民年金のみを受給している人の場合その平均額はなんとたったの 4.9万円 / 月。これだけではとても暮らしていけません。
出典:平成24年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
貯金が足りない
年金だけで暮らしていけない人の多くは、貯金を取り崩して生活しています。しかし、それは無限にあるものではありません。やがて貯金が尽きてしまい、充てがなくなってしまうのです。
家族が足りない
かつての日本は、3世代以上での同居が基本でした。今は核家族が基本。また、生涯独身で過ごす人も少なくありません。年金だけでは足りず、貯金が尽きてしまっても、頼る宛がない人が大勢いるのです。
生活保護も限界がある
こうした人のための社会制度として、生活保護があります。しかし、もしもこうした人すべてが生活保護を申請した場合、財源が持たなくなるのではという懸念も抱えています。
医療費負担、介護費負担が大きい
年金、貯金、家族の支え、生活保護、といった収入の手立てを得られないとなると、支出を切り詰める必要が出てきます。ところが医療費や介護費の自己負担の割合は、これからますます増えることが予想されます。
医療費は2014年4月から70〜74歳の自己負担額が1割から2割へと増しました。介護保険の自己負担額も2015年8月には同じく1割から2割へ増える予定です。
出典:厚生労働省 70歳から74歳の方の医療費の窓口負担についてのお知らせ
社会全体でどう支えていくのか
ただでさえも収入が足りないのに、支出は増える一方。これではますます「老後破産」の問題が深刻化してきそうですね。4人に1人が65歳以上という超高齢社会に突入した日本。少ない若者で高齢者を支えていかなければなりません。そのためには、年金、生活保護、介護保険制度といったさまざまな制度を連携させて「ふつうの暮らし」を実現できる体制が、求められています。
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この記事の寄稿者
横尾千歌
「介護のほんね」ディレクター。介護の用語や介護関連の仕事のこと、高齢者向けの住宅事情など、今まで縁遠かった人でも読みやすいよう図や絵とともに情報を発信します。