インタビュー

介護現場の声から改良を繰り返す、ふとんカバーRakkuChanシリーズ。協和チャック工業代表 高井さんインタビュー

以前、「介護のほんねニュース」でご紹介した協和チャック工業のふとんカバー。今回「RakkuChanシリーズ」として製品化されるとのこと。そんな協和チャック工業代表の高井さんに、ふたたびお話をお聞きしました!

協和チャック工業の高井代表

協和チャック工業 高井文晶さん

以前、「介護のほんねニュース」でご紹介した協和チャック工業のふとんカバー。今回「RakkuChanシリーズ」として製品化されるとのこと。そんな協和チャック工業代表の高井さんに、ふたたびお話をお聞きしました!

工場探しに明け暮れた一年

【中浜】まずは簡単に自己紹介をお願いします。

【高浜】協和チャック工業の高井と申します。当社は、祖父が興した今年で66期目の縫製業者向けにチャックを作ってきた会社なのですが、縫製業者が少なくなってくるなかで、新たな道の模索をはじめてから、チャックが主役となる完成品を作り始めまして、そのなかで出来上がったチャックを使った寝具用カバー「RakkuChanシリーズ」です。

【中浜】実は一年ほど前に一度取材させていただきました

【高井】そうなんですよね。その時はまだふとんカバーが試作段階でパテント関係も未整備だったのですが、今回外に出しても問題ないということで、改めて最終完成品のほうを持ってきました。
実はものづくりというのは、それなりの量を作っていかないと皆様にお届けできないので、作る場所の確保が必要なんですね。ただ、このカバーを大量生産で上手に作ってくれる工場を探すのに骨が折れて、時間がかかってしまいました。

【中浜】ユーザー目線で見ると「使いやすいな、良いな」と思うところが多いのですが、いざ作ってもらう工場からすると…

【高井】手間以外の何ものでもない(笑)。通常の寝具カバーであれば、まっすぐ生地とファスナーを縫うだけで終わるところを、一本の長いチャックを三方向に巻くように縫いますから、どうしてもカーブが出てくるんですね。そのカーブのところを丁寧に縫わないとスムーズにカーブが回らないことがあったりだとか、チャックの上を針が通ってしまうと不良品になってしまうといったことがありますから、そのあたりを丁寧につくってもらわないといけない。 それに、従来まっすぐに一方向から縫えばよかったものを三方向に縫うことで、コストがかさんでしまうんですよね。
いろいろ折衝はありましたが、わたしたちも作る方たちへの尊敬を持って、なるべく満額回答をさせていただきました。なにより、彼らがかわりに苦労して縫製してくれることで、皆さんの普段の苦労が取り除かれるので。

【中浜】このカバーは手縫いなんですか?

【高井】手縫いなんです。機械であれはちょっとできないですね。ただ、なぜこういうものを作るのか、なぜ丁寧に縫わないといけないのかを工場と共有したこともあって、比較的スムーズに商品があがってきました。特に不良品が上がってきて困ったということはなかったです。

協和チャック工業の布団カバーRakkuChan

高齢者の意見から生まれた大きくて開けやすいファスナー

【中浜】実際に私が働いているデイサービスで使ったのですが、チャックの滑りがすごく良かったです。

【高井】ありがとうございます。ご高齢の方からのご意見でファスナーの持ち手が小さいという意見が非常に多くて、それを解決するために持ち手はリング状のものを採用しました。この形は自分たちが思っていた以上に力が入るんですね。わずかな力なんだけれど、ファスナーを引く力は強くかかっているので、そのあたりが開けやすく感じるひとつの理由なのだとおもいます。

【中浜】自分が想像している以上に、リングのおかげで力が伝わっているんですね。

【高井】そうです。ただしその分、力がチャックに加わっているので、実は通常使われている寝具のチャックだと力がかかりすぎてすぐに壊れちゃうんですよ。なので、通常のものよりも、2ランク大きさを上げているものを使っているのも滑りやすさのひとつの理由だと思います。

協和チャック工業の布団カバーRakkuChan

問屋をまわってたどり着いた生地

【中浜】チャックと縫製以外の工夫したところを教えて下さい。

【高井】よくぞ聞いてくれたという感じなのですが…(笑)、生地の選別ですね。生地問屋を数えきれないぐらいまわりましたね。

【中浜】生地はどこで探しているのですか?

【高井】大阪でも探すのですが、場合によっては海外で探すこともあります。日本は縫製工場は少ないので、生地自体もあまりないんですよね。わたしたちは中国で縫製しているのですが、そっちに行ったほうが良い生地にたどり着くことができます。

【中浜】そんなに違うものなのですね。

【高井】はい、私も知らなかったのですが、問屋によって扱うものがぜんぜん違うんですよね。あるとき出会ったのがヨーロッパ向けに生地を卸している問屋で、比べてみたときのデザインや生地の質感が桁違いで違うんですね。もちろん、値段もその分変わるのですが、生地で妥協することはないなと。毎日使うものですから、良い素材のものをと思い選びました。

単なる寝具カバーとしてではなく

【中浜】ロゴがすごく可愛らしいですよね。

【高井】ありがとうございます。今回カバーということで、そのままカバを使いました(笑)。また、三方向にパカっと開くので、カバが口を広げた感じに似ているなということで、デザインをつくり商標を取りました。作っていくうちにだんだん愛着が湧いて、単なる寝具カバーとして売り出すのが嫌だったんですよね。名前をつけないと自分たちで作ったものじゃないなと思って、大阪のデザイナーさんに、やさしい雰囲気の親子のカバをデザインしてほしいと依頼して作ってもらいました。

【中浜】寝具カバーで名前がついているってなかなかないですよね。

【高井】まして専用のキャラクターがいるのもなかなかないかなと(笑)。だからこそこういうものを通して、みなさんにもかわいがってもらえたらなと思っています。

協和チャック工業の布団カバーRakkuChan

色やデザインにもこだわり、よりよい睡眠へ

【中浜】今後、シーツが更に進化するとしたら、どんな方向性になりそうですか?

【高井】生地で言えば、質の良い防炎系の生地をすこし増やしてもいいかなと思っています。というのも、家庭で起こる火災の原因の60%ぐらいが寝タバコなんですね。そういったなかで防炎性の生地を使えば必要のない不幸を減らすことができるのではないかと考えています。あとは、寝具の色と睡眠の関係ですね。色によって睡眠の深さに大きく差が出ると研究で明らかにされているので、シーツの色やデザインにこだわって、より深いところで睡眠と関わっていきたいです。

編集者の一言

高井社長の思いが実現され、製品として形になったこと。そして約1年ぶりの取材ができたことが個人的には本当に嬉しかったです。
また、ここからがスタートであるということで本当に多くの方が使いやすいもの、使いたいものになるようにさらに進化していく『RakkuChan』のこれからが楽しみです!

中浜 崇之

この記事の寄稿者

中浜 崇之

二代目編集長。介護福祉士、ケアマネジャー。2014年に世田谷デイハウスイデア北烏山を立ち上げる。2010年より「介護を文化に」をテーマに介護ラボしゅうを立ち上げ運営中。(http://kaigolabo-shuu.jimdo.com/

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