自己実現もできる子育てを 育児情報誌「miku(ミク)」編集長 高祖常子さんインタビュー

子育て , 家族 , 育児 , 出産 , 離職 , 女性の働き方 , miku , 育児情報誌
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2016.11.03
高祖常子 高祖常子さん

子育てに関する情報発信を行う育児情報誌「miku(ミク)」の編集長。
ポジティブ子育てやパパの子育て、パートナーシップなどに関する講演も行っている。「NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク」オレンジリボン理事、「NPO法人タイガーマスク基金」理事、「NPO法人子どもすこやかサポートネット」理事、「NPO法人ファザーリング・ジャパン」理事マザーリングプロジェクトリーダーなどでも活躍中。

子育ては「一段落しない」、女性が復職しづらい不安や困難。

【中浜】自己紹介をお願いします。

【高祖】高祖常子といいます。育児情報誌「miku(ミク)」の編集長をしています。「miku」は、小児科・産婦人科・子育て広場などで配布している無料の季刊誌です。

【中浜】今回は女性の復職についてお話を聞いていきたいと思っています。出産の平均年齢が30歳くらいだと思うんですが、女性は出産したら離職してしまう人が多いのでしょうか?

【高祖】まだまだ多いですね。子育てしながら、仕事を探す。だけど、いざ働きたいと思っても保育園が決まっていないと復職はちょっと…と(応募先から)断られたり。

【中浜】不思議だな、と思ったのは、保育士さんが子どもを産んだけれど、自分の子どもの保育園が決まらないという話でした。

【高祖】そうそう。そういう人もたくさんいて。今、待機児童を解消しようとして保育士さんを増員しています。でもそれでも保育園に入れない人がまだいます。

【中浜】女性の復職ができない原因の一つは、子どもを預けることができないということですよね。ほかには何かありますか?

【高祖】ほかには、自分に対して自信がなくなっていたり、働けるのかと不安になっていたり。子どもが生まれる前には働いていた経験があるけど、子どもがいる状態で働く経験をしたことがないですから。仕事を辞めて子育てをしていると、仕事をしないで今この生活なのに、働いて子育てまでできるの?という不安がすごく強い。そうすると、「子育てが一段落してから」って言う人が多いんですけど、子育てって一段落なんてしないんですよ(笑)。

【中浜】そうですよね。

【高祖】もちろん、赤ちゃんの時はおむつの交換などお世話がたくさんあります。そういうお世話はちょっとずつ減っていって、子どもは自分でトイレにも行けるようになります。だけど、そうすると次は友だちと喧嘩したとか、ほかの悩みが出てくるんです。私の子どもたちは成人していますが、大人になってからも、元気にやっているのかな、仕事は大丈夫なのかな、と未だに心配は尽きません(笑)。だから「手が離れた」というタイミングはないと思うんですよ。働きたいと思いつつ子育てが一段落するタイミングを待ってモヤモヤしているよりは、その時期の生活に合わせた働き方を見つけてほしいと思います。

【中浜】働きたいのに働けないことがストレスにもなりますよね。

働きたい気持ちがあるなら、諦めないで。

労働率

※図は総務省「労働力調査(詳細集計)」(平成25年平均)をもとに編集部作成

【高祖】女性の労働率を年齢ごとにグラフ化すると、M字カーブであることがずっと問題になっています。今は少しずつ改善されつつありますが。M字カーブとは、結婚や出産を機に仕事を辞めてしまっている人が少なくないということを表しているんです。ポイントは、出産の平均年齢が30歳ということ。多くの女性は30歳くらいまで働いているということですよね。仕事での成功体験ってすごく魅力的です。仕事だとどんなに大変なものでも終わればスッキリするし、うまく行けばハッピーになれる。だけど、子育てには成功体験ってあんまりないんですよ。自分はこんなに一生懸命やっているのにどうして子どもは言うことを聞かないの、とか。なんで私こんなに泣き続けているんだろう、とか。子どもは親が思った通りになんて、動いてくれないですから。

【中浜】思ったように、自分が想像していたようにはできない。

【高祖】そうなんです。子どもは、親とは別の人間ですから。子育てをしていると、子どもがいなかった時にはサクサクと仕事をこなしていた自分がいたにも関わらず、なんにもできていないダメな自分がすごくクローズアップされちゃう。そういうストレスがいっぱい溜まってしまうと、「私は働くことをあきらめているのに…」と目の前の子どもに当たってしまうこともあるでしょう。だから、働きたいという気持ちがあったのに仕事をあきらめている人がいたら、働ける方法を見つけましょうと言いたいです。そこは諦めないで。働ける方法は、今はいろいろあるので、パパとも相談しながら見つけてほしいと思っているんです。

小さく働き始める、家族共同体として応援し合う。

【高祖】働くというと、いきなりフルタイムで働く正社員のイメージを持っている人も少なくないです。だけど、本当にいろいろな働き方があります。自分で週に何回と決めることも、時間帯を決めることもできます。迷っている人がいたら、「小さく働き始める」ことをオススメしています。

【中浜】自分の生活に合う働き方を見つける、ということですね。ほかに、復職をする上でのポイントはありますか?

【高祖】一人でがんばりすぎないこと。夫と共にですね。一回女性が専業主婦になると、家事や育児をほぼ全部一人で回している人が多い。それがベースになっていると、夫の方は家事育児を考えなくていいので自分の仕事を優先し、なかなかそれを変えようとしないこともあります。それが本当に変えられないのか、もう一歩踏み込んで考えてみる。パパ側は、家族との時間がそんなに少なくていいのか考えてみることも大切です。せっかく家族になったのに、朝だけ少し顔を合わせて夜は寝た顔しか見ていない。週末は、疲れ切ってボロボロになって寝ている。そんな人生つまらなくないですかって(笑)。子育ては、ちょっとした成長を感じる瞬間がたくさんあります。赤ちゃんだったら立てるようになったり、ブランコをこげるようになったり。全部見逃しちゃったらもったいないと思うんです。ママが働くことをきっかけにパパも暮らし方を変えて、ママを応援する体制にしてほしいと思います。

【中浜】どうしたら、そのような夫婦での話し合いがしやすくなりますか?

【高祖】ママが働くことのメリットを伝えつつ、家族共同体で考えることが大切だと思います。ママにもやりたいことがある。最初は「働きたい」だけかもしれないけど、働いているうちに取りたい資格が出てくるかもしれない。それはパパ側も同じで、なりたい・やりたいという夢を、きちんと共有しながら応援し合える関係が大切ですよね。ぶつかったり、喧嘩したりすることもあるかもしれないですが、すり合わせて調整し合える関係の方が夫婦として家族として気持ちよくいられます。

準備をしたら、あとはどうにかなる!

【中浜】復職を考えると、子どもが突然熱を出すかもしれないとか、いろんな不安があると思うんです。復職するにあたってどんな心構えがあればいいですか?

【高祖】それを心配しているお母さんはたくさんいますね。もちろん(保育園に通い始めた)最初は、集団保育になるのでいろんな病気をもらいやすいです。だけど子どもが成長すれば体も強くなりますから、病院に行く回数も減っていきます。だから、あるかもしれないないかもしれないことを心配しすぎる必要はない。病児保育や、迎えに間に合わない時にどうするのかは、祖父母の手を借りたり、ママ友など地域でお願いできる関係性を作っておく。ファミリーサポートなど社会の子育てサービスは事前登録が必要なところが多いので、仕事する前に事前登録をして、一度練習で預けてみるのもおすすめです。そういう準備は必要ですね。準備をしたら、大人だって風邪をひくんだからと割り切りましょう。実際に保育園から子どもの熱でお迎えの連絡が来たら、夫婦でどちらが迎えに行くのかなど相談しながらやっていきましょう。

ママの仕事復帰のときは、家族全員でサポートを。

【高祖】育休は、まだ取っていないパパもたくさんいますよね。(生まれてすぐではなく)ママが復職する時にパパが育児休暇を取るということもできますし、育休を取らなくても保育園の送りだけはパパがやるなど、半分だけでもパパが担ってくれたら楽ですよね。ママが仕事復帰するタイミングでは、ぜひパパやおじいちゃんおばあちゃん、ファミリーサポートを利用するなどのサポートをお願いします。あとは、子どもも十分に戦力になると思うんです。子どもにお手伝いをお願いするのもいいと思いますよ。例えば、お皿とスプーンを並べるくらいなら小さい子でもできますよね。3人家族だからスプーンは3つだね、などとやれば算数の勉強になる。子どもにお手伝いさせる方が、子ども自身が将来生きていく力になります。そうやって少しずつ生活に巻き込みながら育てていった方が、ママやパパがいないと何もできないということもなく、将来的に親が楽になることにも繋がります。

場を複数持つと、失敗してもがんばれる。

【中浜】ママが働くことの良さには、収入以外にどんなことがありますか?

【高祖】やっぱりママの自己実現や、やりがいと応える方が多いですね。人のために何か役に立ちたいという気持ちで働くママは多いんですよ。それに、子育て以外の場を持てることは大きいです。子育ては目に見えた成果が出るわけではないですよね。子どもが成長しても、育て方が正解だったのか不正解だったのか、答えは出ないです。でも、生活とは別に仕事や趣味の場を持つことは、ママはもちろん、パパにも子どもにもオススメです。精神的によい影響をもたらすことがあります。たとえば子どもが言うことを聞かなくて家事が進まなくて……ということがあっても、別な場で元気をもらえるとほかの場でも「よし!またがんばろう」と思えるパワーに繋がります。

miku

悩んでいるなら、働くと決める。

【中浜】最後に、働きたいママに一言メッセージをお願いします。

【高祖】仕事はどうしようかなと考えているんだったら、まずは働くって決めてしまいましょう。悩んでいる時点で働きたいという気持ちはあるんだから。あとは壁になっていることを解決していけばいいんです。もし、自分の思うような働き方が難しい職場であっても、「こういう働き方はできませんか?」と聞いてみてください。もしかしたら「そういう働き方もいいですね」と会社側が言ってくれるかもしれません。働き始めてからも、職場と相談しながら働きやすいようにどんどん改善していけばいいと思います。自分が働きやすくなることが、次に入ってくる子育てママやパパが働きやすくなることにもつながっていきますそこは遠慮しないで、ちゃんと相談する。諦めないのが一番です。

編集者の一言

女性の活躍が求められると言われてはいるものの、まだまだ難しい世の中であるのが現実だと思います。少しずつでも多様な働き方ができ、またサポート体制が増えて行くことが改めて求められているのだと実感しました。ぜひ高祖さんの生の声を聞いてみてほしいなっと思います。

〜イベントのお知らせ〜

こそだてママのためのケアワークカレッジ
☆働きたい気持ちを確認して、福祉の仕事を知ってみよう!

  • 11月10日(木)10:00~12:00:東京福祉専門学校(江戸川区清新町2-7-20 「西葛西駅」徒歩13分)
  • 11月29日(火)10:00~12:00:道灌山学園保育福祉専門学校(荒川区西日暮里4-12-5 「西日暮里駅」徒歩5分)

講師:高祖常子
主催:東京都福祉保健局

詳しくはこちら
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kiban/fukushijinzai/jinzaikakuho/gakkosetsumei.html

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中浜 崇之

二代目編集長。介護福祉士、ケアマネジャー。2014年に世田谷デイハウスイデア北烏山を立ち上げる。2010年より「介護を文化に」をテーマに介護ラボしゅうを立ち上げ運営中。(http://kaigolabo-shuu.jimdo.com/