インタビュー

「介護」×「美容」の学びを原宿で!福祉業界の新しい未来を作るミライプロジェクトとは?代表山際聡さんにインタビュー

若者に人気の街、東京・原宿。JR山手線原宿駅から徒歩3分ほどのところに新しい形の美容スクールがあります。「介護」×「美容」のスクールとは、どんな場所なのでしょうか?運営する株式会社ミライプロジェクト・代表取締役の山際聡さんに伺いました!

東京・原宿駅前に新しい美容スクールが登場

スクール入り口

若者に人気の街、東京・原宿。JR山手線原宿駅から徒歩3分ほどのところに新しい形の美容スクールがあります。「介護」×「美容」のスクールとは、どんな場所なのでしょうか?運営する株式会社ミライプロジェクト・代表取締役の山際聡さんに伺いました!

山際聡さん

介護職が美容を学ぶ、美容師が介護を学ぶ。

スクール外観

【中浜】雰囲気のある外観が印象的な学校ですね。どんな人がどんなことを学べるのですか?

【山際】基本は2つのコースを用意しています。1つ目は、介護の仕事に携わっている方が、メイクセラピーやネイル、エステ、アロマテラピーなど、美容師免許がなくてもできる美容技術や知識を学び、ご自身の介護現場で活用できるようにするコース。もう1つは、美容師の方に介護の知識や技術を身につけてもらう、訪問美容のコースです。介護職が美容を学び、美容師が介護を学べるようにしました。
介護職向けのコースでは、高齢者の方にメイクなどをすることを想定して、美容の基礎知識を学んだり、実習を経験したりすることができます。特に高齢になると肌質が変わってきますので、合わない化粧品を使ってトラブルにならないよう、化粧品の種類や皮膚の知識などについても教えています。それから毛髪が弱くなったり量が少なくなったりもしますので、ブラッシングの仕方や力の入れ方、巻き方なども学ぶことができます。
美容師向けのコースでは、介護職員初任者研修を取得できるようにカリキュラムを組んでいます。やはり施設側からすると、責任を持って入居者さんを預かっているので、誰でもいいから訪問美容に来てほしいというわけではないと思うんですね。そのため、一般的な初任者研修のスクールより美容師に合った内容にしており、訪問美容で施設に訪れた際に高齢者とどうコミュニケーションをとるか、スタッフの方とどうリレーションを作るか、といったことも教えています。

スクールパンフレット

着想のきっかけは、知人の認知症の母のこと。感じた美容のエネルギー。

メイクシーン

【中浜】もともとどうしてこの学校を始めようと思ったんですか?

【山際】私自身は長年、美容と関連する仕事をしてきました。また、日本と中国で美容学校の運営に携わっていた経験もあります。綺麗になることには、理屈抜きに元気が出たり、自己肯定感が上がったりと、さまざまな作用があります。美容業界で長く働くうちに、美容のパワーを求める人たちにプラスになる事業をしたいという思いを強く抱くようになりました。
そんな中、たまたま知人から認知症になったお母様の話を聞く機会があったんですね。そのお母様は子どもたちの名前を忘れてしまっていたそうなんです。しかしある日、娘さんがチークやリップなどメイクをしてあげたことがあったらしくて。そしたら急に元気になって、名前を呼んでくれて、とても幸せそうな顔をしたそうなんです。この話はずっと記憶に残っていました。

【中浜】確かに、介護の仕事をしていて、例えば入浴介助のあとに髪型を整えると、とても喜ばれるんですよね。「今日はかっこいいですね」なんて、コミュニケーションを取ることもできて。

【山際】そうなんですよね、とても喜ばれる。介護の現場では美容が求められているんじゃないかなと思いました。それから、過去に美容学校に携わっていて人を育成し社会で活躍する姿を見ることは性に合っていると感じていましたし、最も求められている業界に人材の価値を提供したほうが社会貢献になります。そこで「介護」×「美容」の学校を作ろうと思うに至りました。

美容も介護も、人に触れる仕事。

山際さん

【中浜】介護と美容って、一見真逆のイメージがあるように思いますが、いかがでしょうか?

【山際】実際には、美容も介護も人に触れる仕事。共通点も多いと思っています。施設にボランティアに行くと、元美容部員の方や元美容師の方など、もしかして1施設に1人ずつくらいはいるんじゃないかと思うほどたくさんの美容の人が介護の仕事をしていることもわかりました。

【中浜】確かにどちらも人に触れて、どう感じてもらえるかという仕事ですね。
介護職にとってもう少し美容に関わるケアができると、笑顔を見たい、喜んでもらいたいと思っていやっている人にとっても働きがいにつながるのではないかと思います。

【山際】そうなんですよね、美容を施すことができる介護職の方が増えていき、やりがいやイメージが変わってくると職業全体の見え方も変わっていくかもしれませんね。もちろん、普段は忙しくて美容の知識を活用するシーンは限られるかもしれませんが、できる人が施設に一人二人いるだけでも、サービス内容が変わってくるんじゃないかと思います。

【中浜】介護施設で働いていると、ご高齢の入居者の中にもメイクが好きな方がいるんですよ。かばんの中に何年も前のメイク道具を入れていたり、メイク道具がないから文房具でやってしまったり(笑)。認知症で、忘れていることもたくさんあるけれど、自分の部屋から出る時や人に会う時はちゃんとお化粧をしなきゃと思う人もいる。そういう人を見てきて、誰かに綺麗にしてもらえるとなるとすごく嬉しいんじゃないかと思います。

【山際】お化粧を自分でする時、アイラインなど細かいことをするには筋力を使うので、年を取るとなかなか自分でできなくなってくるんですね。お出かけの前に「今日はメイクをしましょう」と思っても自分でできるのかというと・・・そんな時にやってあげられれば、すごく喜びを提供できるのかなと。それから冠婚葬祭の朝に綺麗になれると、ご本人もご家族もとても喜ぶと思うんですよね。

「休眠美容師」が実はたくさん!?美容師のセカンドキャリアが課題。

【山際】実は、美容師の資格を持っているのに美容の現場で働いていない「休眠美容師」が全国に約75万人もいると言われているんですよ。美容師は女性の多い職業ですが、妊娠出産を経て子育てをとなると、復帰は難しいのが実情です。特に美容師の場合、お客さんが個人につくので、妊娠出産で1年半くらい空いてしまうとお客さんはほかの美容師についてしまうこともあるんですね。そういったきっかけで美容の仕事をやめてしまう人が多いんです。

【中浜】75万人も・・・もしそのうち半数くらいが介護業界に入ってもらえたら・・・(笑)。

【山際】そうなんですよ(笑)、介護業界は、30万・35万人くらい人材が不足しているとも言われていますし。
そうした「休眠美容師」には、新しい働き方を提案できたらと思っているんです。美容の技術や知識があれば、例えば介護施設のアクティビティの時間に美容を提供したり、介護の仕事をしながら合間で美容の知識やスキルを提供したり。美容サービスを提供する方法が介護施設にもあるということがわかり、「このスキルが介護で活かせるんだ」と理解する人が増えると、必然性を持って介護に携わることができると思うんです。スクールでは、介護に興味を持った美容師向けに、訪問美容事業の立ち上げフォローや訪問先の介護施設の紹介も行っていますので、美容師のセカンドキャリアとして介護の道も示すことができればと考えています。

週1回の受講で、振り替えも可。魅力的な講師陣がサポート。

レッスン風景

【中浜】介護職が美容について学ぶ場合、どれくらい通学するのでしょうか?

【山際】週1回、3ヶ月の受講で技術や知識が身につくようにしています。介護の仕事はシフト制が多いと思いますので、来られなかった日はほかの日に振り替えて受講できるシステムも導入しています。

【中浜】週に1回だったら、仕事をしながらでも通学できそうですね。スクールにはどんな講師がいるのですか?

【山際】高齢者向けの写真館でヘアメイクをやっている先生、テレビ番組に出演している先生、現役のヘアメイクでいろんな年齢の施術をしている先生など、幅広い講師が教えます。現役のヘアメイクとして広告やファッションショーをやっている方や業界で知られるトップのクリエーターも、新しい社会づくり・福祉のメイクへの興味といった視点でご賛同いただき、引き受けてくださっています。

【中浜】知人の美容師に講師の名前を聞いたところ、本当にトップの、もう神みたいな方だと言っていました(笑)。

【山際】そうですね(笑)。でも、極めていらっしゃるからこそなんでしょうね、時代に敏感だったり、自分だけじゃなく社会に対して働きかけたいという考えを持っていらっしゃったりするんだなと感じています。

取り組みが広がることで、事業が成長する。

山際さん

【中浜】今後はどのようにスクールを展開していきたいとお考えですか?

【山際】再来年、関西圏にもスクールを作りたいと思っています。また、それ以降はどんどん提携する美容の専門学校やスクール、介護施設を増やしていきたいですね。パートナーが増えると、このサービス自体が全国に行き渡りやすくなると考えています。広がっていけば、結果、利用者さんが増えていくし、携わる人が増えてくるので、自分たちのビジネスも成長すると思います。

【中浜】将来、こうしたビューティーケアが現場で広まって、綺麗になって喜んでくれる人が増えるといいなと思います。

【山際】施設の中で職員同士が教えたってもいいと思うんです。研修の時間で「今日はメイクを教えます」となれば、きっと聞いてみようと思う人もいますよね。職員同士でも技術を継承して広めていけると、また楽しいですよね。

やりたいことや一緒に考えたいことを、ぜひ相談してほしい。

【中浜】読者の方へのメッセージをお願いします。

【山際】介護職向けのコースは8月スタート、美容師向けのコースは7月スタートですので、興味のある方はぜひお問い合わせをください。それから、例えば美容のイベントを介護施設でやりたいけれどどうしたらいいか、とか、一緒にこんなことをやりたい、とか、どういった形でもいいですので、相談のご連絡をいただけたらと思います。次のステップにそこからつながると思うので。現場に課題を感じている人は、いつでも気軽にご連絡ください。

ミライプロジェクト
中浜 崇之

この記事の寄稿者

中浜 崇之

二代目編集長。介護福祉士、ケアマネジャー。2014年に世田谷デイハウスイデア北烏山を立ち上げる。2010年より「介護を文化に」をテーマに介護ラボしゅうを立ち上げ運営中。(http://kaigolabo-shuu.jimdo.com/

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