リリムジカインタビュー第二弾! マネジメントの秘訣

インタビュー , 音楽療法士 , リリムジカ
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2015.01.14
リリムジカインタビュー
このインタビューの第一弾はこちら!!

細かいことの積み重ねが差別化。

【中浜】今、ミュージックファシリテーターの方は何人くらいいるんですか?

【管】今10人ですね。二か月に1人ぐらい増えていくようなペースです。

【中浜】一緒に働く仲間を育てていく中で、何を一番大事に伝えていますか?

【柴田】「押し付けない」、「参加者が主役」、「楽しみが一番」。その中でも特に、「押し付けないんだけれども、参加したくなる場作りって何だろう?」というところですかね。
音楽療法を勉強してきた人や、高齢者、認知症の方の特徴など、もともと知っていることは有利です。でも「音楽療法のセッションとはこうあるべきだ」みたいなものがもしあればそれは逆に先入観なので、壊すところから(笑)未経験の方はゼロからなので、そういうのが入りやすいというのはあります。その代わり、昔の歌とか何も知らないところから必死に覚えて、高齢者とのコミュニケーションの場数を必死に踏んで、積み上げるものは多いですけれど。

【中浜】高齢者向けのセッションで工夫していることはありますか?

【柴田】ものすごくいっぱいあります。何を言っていいかわからないくらい(笑)
一番わかりやすいのが伴奏です。単純にキーを下げる、テンポもちょっと落とす。そして歌い始めは息を吸って吐くまでの時間を考えて一瞬待つ。それこそ、「さん、はい」とは言わない。

【管】僕らは皆さんのペースに合わせていくことをペーシングと呼ぶんですが、これは介護技術にも通じますよね。

【柴田】伴奏のようなテクニックは一つ一つ見たら細かいことですが、その細かいことの積み重ねが差別化かなと思います。

ファシリテーターが自由に活躍できるコツ

【中浜】利用者さんの反応を見ながら細かく対応するのは、介護職としてもミュージックファシリテーターとしても大事な能力ですね。一人一人のミュージックファシリテーターの「らしさ」というのも出ますか?

【管】出ますね。キャラがそれぞれあるので、エッセンスだけは伝えています。「ここは守ってね」と。それ以外は基本的には自由です。

【中浜】逆に自由だと難しくないでしょうか?一人一人が持っている強みはどうやって伝えているんですか?

【管】『ありがとうシート』というのを作っていて、僕がプログラムを見に行った時にファシリテーター向けに「よかったこと」や「こんなの試してみたらどうですか」というのを書いて渡しています。素晴らしかったと思う点と、今後改善してはどうかと思う点を書きます。分量はなるべく3対1くらいになることを意識しています。

【中浜】個人で動いているだけに、確かに迷う。そこで言ってくれるとすごいありがたいですよね。

【管】「ファシリテーターのだれだれさん来てくれてすごく良かったです」といった「褒め」が、僕に直接来る時があるんですが、言われたら即回すというのを心がけています。それが段々顔に出て、自信になっていくので。あと週1回、誰かしらとしゃべる時間を設けています。

【中浜】ミュージックファシリテーター同士でですか?

【管】同士ですね。私としゃべるメンバーもいます。溜め込むと「言えなくなってどんどん重くなる」というのがあるじゃないですか?だから、軽いうちに、あるいは良かったこととかも話します。

採用に時間をかける。「自分さえ良ければ」というタイプの人は求めていない。

【中浜】管さん、柴田さんがやっている教育やマネジメントで大切にしていること、ほかにはどんなことがありますか?

【管】最近すごく思うのは、「採用に時間をかけよう」、そして「厳しく見よう」。
ありがたいことに、少しずつ名前が売れて応募が結構あるんです。エントリーにかなり時間をかけています。早い人でも採用まで3~4か月くらい。一見、音楽的なことはできて思いは強いけど、仲間とのコミュニケーションがあんまりやる気がない、という人はお断りしています。

【中浜】その間は面接したりですか?

【管】プログラム見学に2回以上来てもらいます。さらに実技試験。

【中浜】しっかり現場をイメージしてもらうんですね。コミュニケーションを大事にしているのはなぜですか?

【管】僕の好きな言葉で「早く行くなら一人で行け。遠くに行きたいならみんなで行け」って聞いたことはあります?「それだな」と思っていて。
短期的にはそれこそ「お年寄り一人に喜んでもらう」とか、「事業所職員さんに何か一つ気づきを」とか、あとは「音楽療法士をやろうと思って食えなかった人が食えるように」とか小さな目標あるけれども、究極的に目指していることって、介護業界の事業で言えば介護業界全体を良くしていくこと。
社会全体に目を広げれば、音楽をとおして自分らしく生きられる社会を作るというミッションがある。そのミッションに向かえるためには「自分さえ良ければ」というタイプの人は求めていない。みんなで「より良い仕事とは何だろう?」ということを考えていきたいです。

情報を開示した分だけコミットを引き出せる。

リリムジカ管さん 【中浜】入社してきた人たちに対して大事にしているところはなんですか?

【管】そこはずっと研究中ではあるんですが、一つはさっきも言った「細かなことでも褒めは速攻で伝える」ということ。あとは、「なるべくいろいろな仕事に携わってもらう」。そして「情報を開示する」。これも誰かの言った好きな言葉で「情報を開示した分だけコミットを引き出せる」というのがあります。
例えば「経営者の給料は全部秘密だよ」、「何やってるかスケジュールも秘密だよ」、「君たちはこの仕事与えるからやってね」みたいな会社って、まぁまぁあると思うんですよ。そうすると、与えられた仕事しかしなくなる。
僕らは、「今年は売り上げはこれだけ目指します」、「私たちの給料はこれくらいです」、「今のままでは大赤字なんです」というのをオープンにして、「みんなと一緒に頑張っていきたいんで、まずセッション頑張ってもらって、もしその上で余力(よりき)があったら、ホームページの作成手伝って欲しいな」とか、参加を引き出していく。出てきたものに関しては必ず受け止めて感謝を伝える。「ありがとうございます。自分だけじゃできなかった」って。

【中浜】介護現場もそうですが、ミュージックファシリテーターって女性が多いですよね。男性同士がラク、といったことはあるんでしょうか?

【管】逆に女性しかマネジメントしているので分からないんですよね。男性はインターン生くらい。

【柴田】私が見ていると、インターン生であっても男性もいたほうがいいんですよ、「具体的に何」がいいとは言えないですが。管が何か話したいことがあった時にぶつけられる。

【管】女性に対して格好つける時の格好付け方と、男性に対しての格好の付け方は違う。「うわー、やっちまった」と思った時も、(男性インターン生の前では)背筋を自分で伸ばして「ここが頑張りどころなんだぜ」とか言ってみたり。そう言っていると、そう思えてくる。

【中浜】自分に言い聞かせるんですね。

【柴田】逆も然りで、私から男性のインターン生に対する接し方・格好付け方と、女性の後輩に対するのもまた多分毛色が違うと思うので、やはり男女どちらもいた方がいいと思うんですよ。

亡くなる前に、一瞬でも楽しい時間を作れたら。

【中浜】これからリリムジカとして「こうなりたい」というのはありますか?

【管】もう二年半後くらいには全国でやりたいと思っています。
二つ理由があって、一つは会社説明会を東京でやったにも関わらず、関西から新幹線・飛行機でやってきた人がいたこと。「こういうやり方で働きたい」と思っている人がいろんなところにいると思ったことが一つ。もう一つは、需要側。東京以外からも相談が来るんです。そうすると、「提供したい」という気持ちになる。
お年寄りって亡くなるじゃないですか、基本的には。だから、亡くなる前に、一瞬でも楽しい時間を作れたら、その人の死ぬ時の満足度がちょっと違うんだろうなと思って。リリムジカに触れればもっと幸せになれるかもしれないという予感があるので、そういった人たちのために広げていきたい。

【中浜】全国に広がる未来が来たら、柴田さんは現場から離れなきゃならないことがあるかもしれませんよね?

【柴田】そうなんですよ。でも、現場を完全に手放す気はまだしばらくないですね。現場で見出せる部分はたくさんあると思いますし、私のやり方や立ち居振る舞いを見て入ってくれるメンバーもいるので、いつかエッセンスとなってファシリテーターに浸透して、また違う人たちが入ってきてくれたらそれはそれで嬉しいですね。

「こんないい仕事、ないな」

【中浜】介護現場に入る魅力や伝えたいことはありますか?

【柴田】皆さん何かしたら「ありがとう」って言ってくださるじゃないですか。しかも色んな人に出会うと、その人のこれまでの生き様やどういう風に最期に向かっていけばいいのか、自分自身や自分の家族と重ねて考えたりすることがあって、「ありがとう」と言われながら人生について考えたり、学ぶ機会がもらえるってすごいなと思います。
しかも仕事としてお金もいただいて「こんないい仕事、ないな」と本当に思います。

【管】この仕事して本当に良かったなと思うのは、人に対する眼差しが根本的に変わった。「どうでもいいや」じゃなくて、「ちゃんとせにゃあかんな」という気持ちになれるのがこの業界の仕事。

【中浜】これから「自分はこうなりたい」と思っている人が行動に映せるような、読者の方へ先輩としてのメッセージをお願いします。

【柴田】なにかする前に見通しを立てすぎなくてもいいと思うんですよね。私自身、見通しが立ったからやったわけじゃなくて(笑)とりあえず、動く。その一歩は「こういうことをやりたい」と思っていることを周囲の人に漏らすところ。まずは口に出してみたらいいんじゃないかなと思います。


音楽で楽しむ。心が弾み、笑顔が生まれるそんな場所をリリムジカの皆さんは作っているのだと感じます。音楽が時空を超え、思い出とリンクする。「懐かしさ」と「現在」。そこに、今のその人が輝ける時間を生み出す音楽の力って大きいですね。ぜひリリムジカの時間を多くの方に体感していただきたいと思います。(中浜)
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寄稿者

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中浜 崇之

二代目編集長。介護福祉士、ケアマネジャー。2014年に世田谷デイハウスイデア北烏山を立ち上げる。2010年より「介護を文化に」をテーマに介護ラボしゅうを立ち上げ運営中。(http://kaigolabo-shuu.jimdo.com/