GOS
GOSと呼ばれる恐ろしい病気があるのをご存じですか?実はかなり前にも日本にも上陸しているのです。
メディアはインフルエンザは盛んに取り上げても、この病気をことさらに取り上げたりしませんね。
<GOSの特徴>
GOSの特徴は以下の通りです。
主な症状は以下の通り。
ちなみに発症してから死に至るまでの期間はおおよそ50-80年程度、人類における罹患率は100%。
病気の正式名称はGOS(Getting Older Syndrome)、要するに加齢です。GOSは今私が作った造語です。
平たく言ってしまえば、「年をとればだれでもいつか死ぬ」ということを言いかえただけ。
・・・すみません。変な書き出しで始めてしまいましたが、ここで「加齢は恐ろしい」と言いたかったわけではありません。
加齢はあくまでこんな症状の集合体。個別事象は誰にでもいつでも起こること。
「年をとる」ことは、老人という別の生き物や人格に変わることではないと言いたかったのです。
世の中は「お年寄りになる」ことを「お年寄りという別人になる」ように扱っているのではないか。
例えば、40代、50代を相手にしたときは敬語でも、おじいさん相手には突然タメ口になったりします。
たまには好きな塩辛いものを食べたいという欲求に対して、健康に悪いからダメだよ、と制限をかけたりします。
服装に対するこだわりなどないとして、地味なものを着て当然と考えます。
だけど、それが例えば壮健な男性で、交通事故で全身打撲の状況だったとしたらどうでしょう?
病院に入院した瞬間、突然タメ口になったら。
塩辛いものを、健康に悪くてもいいから食べたいと思っても、捨てられたら。
入院して以降、家族が誕生日にくれる服がすべて茶色になったら。
高齢者向けの各種サービスを否定しているわけではありませんが、たとえば介護サービスの現場などではこういったことが多く見られる気がします。
あるいは、「高齢者向け」と銘打った商品がその存在によって、高齢者の気持ちを損ねていたり。
タメ口で簡潔にしゃべらないと伝わらない方はいらっしゃいます。
当然目が悪い人には見やすい時の大きさにすべきだし、駅の段差はなくしたほうがいいに決まっています。
認知症によって判断力や自律する力を失った場合には、時には周りが行動を制限することが当然に求められます。
しかし、大前提として、自分と同じ感情を持った人間のためのサービスという自覚が必要ではないか。
サービス提供の現場というより、世間一般にこの認識が欠けているのではないかと感じます。
「年寄は年寄らしく」という考え方、自分も知らず知らずのうちに持っていないでしょうか?
「年寄の冷や水」という言葉もありますね。若ければ冷や水をかぶってもよくて、どうして年をとったらダメなんでしょう?
思えば、学生時代には30半ばの会社員なんて、おじさんそのもので、自分も30代になれば今までと全く違う考え方を持つようになる、と想像していました。
実際なってみればこんなものかで、体力は落ちていますが中身が変わったという自覚はほぼありません。
それはきっと60歳でも80歳でも100歳でも変わらないのだと思います。
実際、70代、80代の方とお話する機会でも、そうした考え方の変わらなさを肌で感じます。
高齢者を高齢者として捉えるのではなく、
「“ある人”が長い人生の結果として足が悪くなったり、記憶するのに時間がかかるようになっているだけ」
そんな風に認識してみたら、ちょっと見方を変えられるのではないでしょうか。
また自分が年を取ることも、冷静に見つめられると思います。
相手を「おじいちゃん、おばあちゃん」ではなく○○さんと呼ぶ。
過去の培ってきた経験に敬意を払い、その経験に裏打ちされた判断を尊重する。
お年寄りだから席を譲るのではなく、足が悪かったり、疲れやすい、転んで怪我をしやすい人だから席を譲る。
当たり前のことだけど、意外と難しい。でも難しいからこそ、価値がある。
こんなことが一般的になれば、日本は「超高齢社会」ではなく「ポスト高齢社会」になれるのではないでしょうか。
この記事は株式会社こころみのブログを元に加筆・修正しております。
http://tsunagariplus.cocolomi.net/
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この記事の寄稿者
神山 晃男
1978年生まれ 長野県伊那市出身
慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
コンサルティング会社を経て、アドバンテッジパートナーズにて投資ファンド業務に従事。
2013年に株式会社こころみを設立、一人暮らし高齢者向け会話型見守りサービス「つながりプラス」事業を展開。
Twitterアカウントは、@akiokamiyama