「誰もが自分らしくいられる居場所」。マンションの1室を改装して生まれた地域の交流サロン「みんなのサロン なつめ」伊藤雅子さんインタビュー

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2014.10.30
みんなのサロン なつめ 社会福祉法人常成福祉会 伊藤雅子さん

1階の部屋をそれぞれ地域の福祉拠点に改装した、神奈川県秦野市のとあるマンション。「みんなのサロン なつめ」はその106号室にあります。そこで福祉に関する専門知識を生かし相談員として活躍する社会福祉法人常成福祉会の伊藤雅子さんに成り立ちやサロンの様子をお聞きしました!

現場での障害者介護、相談支援の経験。そこから感じた地域のネットワークの必要性

【工藤】伊藤さんは常成福祉会の中ではいつからどんなことをされていたんですか?

【伊藤】常成福祉会に入社して、約13年間ずっと入所施設で。主に身体障害のある方を介護する仕事をしていたんですが、「施設の外も見てみたい」と思いまして、今いる相談支援事業所に異動させていただいて。そこから初めて施設の外での障害者支援の取り組みを目の当たりにしました。ちょうど障害者虐待防止法が施行される年で、障害者虐待の防止を考えた時に地域のネットワークづくりが、障害者だけでなく地域の方全員がその人らしく暮らせるような地域づくりが必要だねという話になり、そちらの事業も担当させていただくようになりました。

【工藤】そうするとこれまでの現場職から相談支援に移られて?

【伊藤】そうですね、相談支援事業といっても範囲が広いので、障害のある方の相談をお受けするのが主な事業なんですが、私はここの「なつめ」を拠点とした地域づくり・地域支援を主にやっています。

【工藤】「なつめ」を簡単にご説明いただけますか?

【伊藤】「なつめ」とは、そうですね、その地域の困った情報とか、些細な情報でも、その情報を集めて専門職がつなげていく、収集と発信の場が必要だねという話になって、その時偶然、この場所(マンションの一室)が借りられることになって。この場所をどう生かそうか検討した結果、「サロンっていう形がいいのでは?」というところで。地域の方、誰もが立ち寄れる場所。気軽に、世間話なんかをするところで。

102は防災対策本部、105が相談室、106がサロン。地域の拠点がそろったマンション

みんなのサロンなつめ 【工藤】このマンションの1階って、いろんな看板が掲げられていますね。「みんなのサロン なつめ」は106で、「障害者権利擁護センター ライツはだの」(相談室)が105ですよね。あとは102が防災対策本部ですけど、これはどういった位置付けですか?

【伊藤】こちらのマンションは一部職員住宅も兼ねていて、災害時にすぐに協力できるようになっています。102は法人と地域の緊急対策拠点ですね。災害時には、法人関係者だけでなく、集まった地域の方とも協力できればというふうに思っています。

【工藤】そうするとこのマンションが地域の拠点として充実しているのが見受けられますね。

【伊藤】ありがとうございます。もともと地域のニーズに沿ったような形で活用したいと考えていたので、昨年度サロンを立ち上げて、地域の状況を見ながら整理して、まとまったというような状態ですね。

社会貢献って?そんな疑問だらけだった地域が、モデルケースとなっていく

【工藤】サロンが出来るまでの生い立ちは?

【伊藤】(社会福祉)法人が用意した場所ではあるんですが、地域の方がつくっていって地域の方の場所にしていただきたいという想いがありまして、社協さんに相談しながら準備を進めました。開所の際には周辺地域の方々にご相談して、「社会福祉法人って何をやってるところなんだろう?」「社会貢献といっても、収益のないようなことをなんでやってるんだろう?」というご意見をいただき、社会福祉法人がまだまだ地域に馴染みがないことを感じました。偶然、この地域の自治会長さんは、もともと法人の活動をご存じだったので、まずはこの地域で実績を重ねて広められるようにしようということになりました。

【工藤】ほかの地域にはこういったサロンはあるんですか?

【伊藤】高齢者向けサロンですとか、子育てサロンですとか、そういったものはあると聞いていますが、そういうところは活動日時が決まっていて。常設型はとてもめずらしいのではないかなと思います。

【工藤】なるほど。ここがモデルケースとなって、ほかの地域から問い合わせがあったりもするんじゃないですか?

【伊藤】そうですね、(市区町村だけでなく)社会福祉法人の在り方が検討されている中で「社会貢献事業として何か考えています」というところからも、見学、お問い合わせがありますね。

【工藤】維持費や、運営にはサポートしてくれる方がいらっしゃるんですか?

【伊藤】家賃や光熱費といったものは法人(常成福祉会)がまかなって、あとは地域の方からの寄付ですとか。運営に関わっているのは、主に自治会の方や、民生委員さんですね。それから、自治会長さんにボランティア活動をされている方を紹介していただいて、地域の方のつながりを使っていろいろご紹介いただいてっていう形ですね。

サロンが、制度の狭間にいる人の居場所になっている

みんなのサロン なつめ 【工藤】最初は「社会福祉法人って?社会貢献事業って?」という声があったということですが、今はどんな様子ですか?

【伊藤】ここに来られる方は「こういう場所を用意してもらってすごく良かった」という方が多いです。「いつでも自由に気軽に来られる場所があるのはすごく助かる」という声はたくさんいただいていますね。実際、前々から住んでいて顔を合わせたことはあったけど挨拶をする間柄ではなかったのに、ここで知り合って地域の中で「声を掛けてもらえたよ」とか、いろんなところで挨拶する人が増えたっていう話をよく聞くようになりました。災害時の支え合いっていう意味では徒歩圏内の方が顔なじみになるのがすごく重要だなと感じていて、そういう関係性が出来ればと考えています。

【工藤】災害の拠点、情報収集、発信する場、として、地域の人の顔が見える関係づくりを推進しているんですね。

【伊藤】そうですね。制度の狭間にいる方、というか、ここに集まるのは、お元気なご高齢の方が多いです。(介護)サービスを使うほどではないけれども「誰かとふれ合いたい」ですとか「何かしたい」という方の居場所としてここが求められているのかな、と感じます。それから、(福祉相談の)専門職をもっと知っていただいて、もっと気軽に相談していただけるような関係性をつくっていけたらなというふうにも思っています。

地域の活動に関心を持つ人が増えていけば

【工藤】読者の方へ何かメッセージを。

【伊藤】こちらの事業を始めて、「地域の中にはこんなに頑張っている方がいるんだ」っていうことや、「なにか地域の役に立ちたい」って思ってる方がこんなにいるんだなということを初めて実感しました。そういう方が本当に多いので、地域の活動に関心を持っていただければ、地域の様子が見えてくるのかなと思います。
ご高齢の方が増えていたりですとか、子育てに悩む方がいるっていう状況を見ると、やっぱり地域のつながりってすごく大事だなと感じます。まずは、みんなが関心を持って地域の情報を見て、知っていただけたらなと思います。
みんなのサロン なつめ 人間関係が希薄な世の中に、みんなのサロン なつめのような「誰もが気軽に立ち寄れて、交流できるような場」が溢れてほしい。地域には、定年退職して時間をもてあましているお父さんや、子育てがひと段落して落ち着いているお母さんなど、活動者として動ける年代の方々がいる。さあ、自分が住む街をより良くするために、いまこそ立ち上がりましょう!(工藤)
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寄稿者

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工藤裕也

介護のほんねニュースの街角インタビュアー。主に小地域福祉活動を中心とした「草の根の活動」をされている方々にスポットをあて、ほっこりと温かみのある情報を発信します。