療養病床の患者数削減へ、在宅シフトはどう進むのか?

在宅介護 , 療養病床
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2015.03.26
療養病床

療養病床の患者数削減へ

先日、厚生労働省から高齢者が多く長期入院している療養病床の患者数を減らす方針が発表されました。
療養病床とは、急性期の治療が終わった人が自宅に戻るまでの間、胃ろうやたん吸引など日常的な医療ケアやリハビリを受けながら在宅復帰を目指すところです。しかし、多くの高齢者が療養病床を退院せず、長期入院しています。
療養病床の患者数を減らすということは、在宅復帰を促すということ。国は今、ひっ迫する医療・介護体制に対して、病院や特別養護老人ホームなどでの入院・入所によるケアから、在宅医療・介護へのシフトを図ろうとしており、療養病床の患者数削減はこうした流れの具体的な取り組みのひとつです。
療養病床の患者数削減は、今後の在宅シフトのどんな課題を浮き彫りにしていくのでしょうか?
出典:http://www.yomiuri.co.jp/

療養病床の入院患者が多い地域に共通する特徴とは

厚生労働省の今回の発表では、療養病床の患者数が多い地域と少ない地域が紹介されています。削減の方針としては、多い地域の患者数を中央値の地域と同じくらいに減らし徐々に少ない地域と同じくらいに近づけていく目標が示されています。では、多い地域と少ない地域で見られる傾向とはどのようなものなのでしょうか。

先に、療養病床の患者数が少ないと言われる優秀な地域の特徴を、「三世代同居率ランキング」というデータをキーに見て行きましょう。これは、どれだけの世帯が、祖父母、父母、孫というような三世代同居しているかを表すランキングです。療養病床の患者数が少ないと言われたのは、次の5つの県。

療養病床患者数が少ない各県の三世代同居率ランキング(カッコ内は高齢化率ランキング)
  • 長野県 13位(12位)
  • 山形県 1位(6位)
  • 岩手県 7位(10位)
  • 秋田県 4位(1位)
  • 神奈川県 44位(44位)

  • 実はこの5つの県、5位の神奈川県を除く4つが「三世代同居率ランキング」の上位に来ている県です。(神奈川県は高齢化率も下位なのでこのような結果なのでしょう)

    一方、患者数が多いと言われたのは次の5つの県はどうでしょうか。

    療養病床患者数が多い各県の三世代同居率ランキング(カッコ内は高齢化率ランキング)
  • 高知県 36位(2位)
  • 山口県 34位(4位)
  • 熊本県 20位(20位)
  • 鹿児島県 46位(18位)
  • 徳島県 21位(7位)

  • この5つはいずれも高齢化率も高いうえに、「三世代同居率ランキング」の下位に位置しています。たいてい、三世代同居率の下位はたいてい高齢化率も低いのですが、特に高知県は高齢化がトップクラスに進んでいるにもかかわらず三世代同居率は低いという傾向があります。

    このデータはどういう意味か。
    それは、退院しても家族のサポートを受けづらい人が、結果的に長期入院しているのではということです。

    実際、介護のほんね入居相談室にもここ数日特にそうした悩みを抱えている方からのご相談をいただきます。「急に父親の退院が決まったが同居しているわけではないので急ぎで施設を探したい」といったようなケースです。

    在宅=自宅で家族がみること、以外にも選択肢がある

    在宅介護は、家族が自宅で介護するしかないと思っている方も多いようです。もちろん、自宅で家族が介護するのが一つ目の選択肢ではありますが、ほかにもいくつかの方法があります。例えば、

  • 基本的には家族が介護し、訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)などを時々利用する
  • 訪問・通所・短期入所を組み合わせて利用できる小規模多機能型居宅介護を利用する
  • 医療ケアが手厚い民間の介護付き有料老人ホームなどに入居する

  • などです。
    ただし、医療ケアが手厚い民間のホームとなると、どうしても高額になります。こうした選択肢があったとして、その人個人がその選択肢を取れるかどうかは別問題です。
    今回の厚生労働省の発表では、療養病床の患者数を、地域ごとに多いところを少ないところに近づけるというような方針のようです。当該地域だからと言って一律に患者数を減らすのではなく、こうした選択肢の少ない人にはきちんと居場所が残せるような仕組みが、必要になってくるのではないでしょうか。
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    まーしー

    介護のほんねニュースライター。とある町の公式キャラとの情報もあるが、定かではない。