「介護うつ」になる人が増えてきている
うつ病はいまや決して珍しい病気ではありません。そして最近は、介護中や介護をしている家族が亡くなった後に「介護うつ」になる患者さんも見られるようになってきました。特に1人で自宅介護をがんばっている方が抱える精神的・肉体的な負担はかなり大きいものなのでしょう。数年前には、とある芸能人の奥様が「介護うつで自殺」というニュースも取り上げられていました(※)。もしそうなれば、本人だけでなく残された家族や友人だって悔やんでも悔やみきれません。
ここでは、そんな介護うつの実態を取り上げていきたいと思います。
誰もがなる介護うつ。介護に没頭した8年間、その後…
突然始まり、どこまで続くかわからない介護。そんな介護の最中に疲れが溜まり介護うつになるケースはもちろんですが、例えばこんなケースもあります。認知症の母を日中ヘルパーさんにお願いし、会社から帰宅後は自分1人で介護にあたっていた男性、Aさん。53歳という脂の乗った年齢で残業や転勤を断り、出世への道が閉ざされたことも気にはなりません。早くに父を失い、母を思う気持ちが人一倍強かった彼にとって、最も優先するべきことは介護だったのです。
そして母が亡くなり8年の介護生活を終えた時、Aさんを突然の不眠症状が襲いました。そのうち「自分も認知症になってしまったのではないか」という不安に駆られるようになり、病院を受診した結果うつ病と診断されたのです。出世も結婚もあきらめて母の介護に没頭したAさんにとって、介護は人生そのものになっていたのかもしれません。その母が亡くなった時、自分の人生の意味や目的を見失ってしまったのでしょう。その結果、いわば燃え尽き症候群型ともいえる介護うつを発症したのです。
現在Aさんは介護うつを乗り越えています。ですが、母を失った喪失感とうつ症状によって、最悪の結果に終わっていた可能性だってあるのです。
出典:http://kokoro.mhlw.go.jp/
介護が人生の全てではない
今まさに介護の真っ最中という時にうつ症状が出てくる人も少なくありません。程度の違いこそあれ、介護をしている人なら誰でもいつでも起こる可能性があるのが介護うつなのです。そんな介護うつを予防するためには、自分の人生と介護を切り離して考えることも必要です。介護は生活の一部ではあるかも知れませんが、それが人生の全てではありません。適度に手を抜き、休息を取り、自分の人生に介護以外の目的や楽しみも見出していきたいもの。1人で抱え込まずに、積極的に周囲にサポートをお願いしましょう。
もしあなたの身近に介護をがんばっている人がいたら、たまには外に連れ出して、ストレス発散のお手伝いをしてあげてくださいね。
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この記事の寄稿者
ポッポ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。