【現役医師に聞く】認知症の原因にもなる脳卒中って?

認知症 , 脳卒中 , 生活習慣病
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2015.04.04
脳卒中は、現在要介護の人の介護がスタートしたきっかけ第1位、認知症の原因としても大きな比率を占める恐ろしい病気。
それまで元気だった人が突然倒れてしまうということを身の回りで体験された方も多いのでは?
いつ訪れるかわからない恐怖に備えるために、なにか前兆のようなものはないのか、普段から気をつけられることがないか、木村医師に聞いてみました。

脳卒中ってどんな病気ですか?脳血管性認知症ってなんですか?

脳卒中という言葉は、実は病名ではなく、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血をまとめた言い方です。昔から、突然に起こって意識障害や麻痺などの重い症状を起こす病気として知られていて、(悪い)気に中る(あたる)=“中気(ちゅうき)”とか中風とも呼ばれていました。解剖によってその原因が脳出血や脳梗塞であったと分かることもありましたが、CTやMRIの普及にともなって、亡くならなくても出血か梗塞か診断がつくようになりました。
脳血管性認知症とは、脳卒中が原因となって起こる認知症のことです。認知症と一口に言っても、実はさまざまな原因で起こります。腹痛がいろいろな病気から起こるのと同じです。
認知症の患者さんは日本で400万人以上いらっしゃると言われていますが、そのうち100~150万人くらいが脳血管性認知症の患者さんだと言われています。ちなみに、認知症を起こす原因で最も多いのがアルツハイマー病で、およそ半分の200万人くらいの認知症患者さんは、アルツハイマー病が原因の認知症だと言われています。

脳卒中が起こる原因は何なのですか?

脳卒中の多くの場合、生活習慣病が深く関わっています。高血圧や脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病などです。また、たばこも脳卒中の危険性を高くすることを忘れてはいけません。一部の脳卒中では、生まれながらに脳の血管に異常がある場合もあります。
また、単純に高齢になればなるほど、脳卒中にはなりやすくなります。つまり、高齢になれば脳の血管も老化して、詰まったり、穴が開きやすくなるわけです。生活習慣病やたばこは、血管の老化を進めるとも言えます。

仮に発作が起きてしまったらどうすればいいのでしょうか?

脳卒中を疑う症状(突然起こる頭痛や意識障害、片方の手足が動かしづらいとか、呂律が回らないなど)が起こった場合は、すぐに救急車を呼んで病院へ行ってください。
特に脳梗塞の場合は、症状がでてから4.5時間以内では脳の血管の詰まりを溶かす特別な治療ができる場合がありますし、早ければ早いほど、脳のダメージを減らせる可能性が高くなります。

なにか前兆や、こういう人は気をつけたほうがいい、という兆候はありますか?

特に高齢者や、たばこを吸っている人、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症を長年患っている方は、脳卒中が起こる可能性がほかの人より高くなっているかもしれないと気をつけてください。
脳出血は前兆があることは少ないのですが、脳梗塞の前兆症状として一過性脳虚血発作(TIA)という病気があります。これは、先ほどお話した脳梗塞のような症状が数分から数十分くらい起こって自然と消える病気です。自然によくなるので「まあいいか」と放置してしまう方もいらっしゃいますが、そのうち10%くらいの人が、48時間以内に脳梗塞を起こすことが知られています。

いま自分が大丈夫なのか検査する方法はありますか?

自分が脳卒中を起こしやすいかどうかを調べるために、生活習慣病がないか、定期的な健康診断を受けることが重要です。
また、脳ドックを受けることで、症状はないけど脳梗塞が出てきているとか、太い血管が詰まりかけている、あるいは脳の動脈瘤など、脳卒中の引き金になる病気を見つけることができます。

脳卒中にならないためには、どんなことに気をつければよいですか?

まずは、生活習慣病がある方は、その治療をしっかりと行うことです。またたばこを吸っている方は禁煙することがとても重要です。
生活習慣病の治療や禁煙は根気が必要ですし、目に見えて何かが良くなるものではありません。しかし、一旦脳卒中になってしまうと、脳の組織が再生することはなく、場合によっては寝たきりになったり、命を落としたりすることになります。脳卒中が起きてからでは手遅れです。なぜ、治療しなければいけないのか、放っておくとどうなってしまうのかをよく理解して、禁煙や生活習慣病の治療に望んでほしいと思います。

お話を伺った現役医師
木村俊運 先生 木村 俊運 先生
1999年 東京大学医学部卒業。
東京大学関連病院で2001年以降毎年200件以上の手術を担当。
現在はNTT東日本関東病院勤務。
専門は脳血管障害、良性脳腫瘍。

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寄稿者

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横尾千歌

介護のほんね」ディレクター。介護の用語や介護関連の仕事のこと、高齢者向けの住宅事情など、今まで縁遠かった人でも読みやすいよう図や絵とともに情報を発信します。