
特養待機者数、全国第1位は東京都
特別養護老人ホーム(以下特養)の待機者数(入所を申し込んで待っている状態の人の数)は、平成25年10月時点、全国で約52.4万人。都道府県別にみると、4.3万人の東京都が第1位です。これには要介護2以下の方も含まれているため、「原則要介護3以上」という介護保険制度改正後の新基準を当てはめるともう少し減ることになるでしょう。それでも東京都はほかの地域よりはるかに多い待機者を抱えているのです。さらに、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けてますます待機者の増加が予想されています。これは単に東京の人口がどこよりも多いからではありません。実は地方よりも深刻な都市部の介護事情
膨れ上がる入居者数に対応しようと、都内では特養の建設が進んでいます。ですが介護職員の有効求人倍率は全国平均が2倍強なのに対し、東京都は4.34倍とかなりの人材不足(「朝日新聞」より)。都内では職員不足で新たな入居者の受け入れをやめたり、部屋を一部閉鎖する特養も出始めているのです。こういった問題は人口の少ない地方に起こりがちだと思われていますが、実は都市部の方が深刻なのです。人材不足。介護職に定着しないのはなぜ?
都内のとある特養の職員の年収は、勤続6〜7年で約450万円。特養の中でも高い水準の施設ですが、それでも人材は不足しています。これらすべてが原因だと考えられています。
退職した職員が必ずしも介護職に復帰しているわけではなく、この施設でも半数が他職種へと転職しているそうです。
出典:http://www.asahi.com/
東京都の模索1:キャリア段位の活用
この状況を何とかしようと、東京都も動き始めています。例えば、知識と実践的なスキルの両方から介護職員の評価を行う「キャリア段位制度」。一定のレベルの認定者に対しては、1人当たり月2万円の支給を決めました。介護職員の質の向上や介護職離れ防止を期待した全国初の取り組みです。
ただし、その効果を判断するにはしばらく様子をみる必要がありそうですね。
出典:https://careprofessional.org/
東京都の模索2:多摩ニュータウンの都市再生
また、深刻な人口の減少と高齢化の問題を抱える多摩ニュータウンの再生シナリオも発表しています。さまざまな世代に対応した住宅や施設などの「ハード」と、子育て支援や高齢者生活支援などの「ソフト」。
この2つを組み合わせたコンパクトなまちづくりで若い世代を呼び戻し、地域再生を目指しているのです。これによって住民が地域で暮らし続けることができるようになれば、施設入所を急ぐ必要はなくなりますよね。
ですが、財政縮小がいわれる中でのこの都市再生計画は、民間企業に頼らざるを得ない状況。果たして、シナリオ通りに事は運んでいくのでしょうか。
介護のほんねニュースをフォローする