厚生労働省が「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」を改正
今年の3月、厚生労働省は「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」の改正を通知しました。これをベースとして、各自治体では7月1日からの実施を目標に独自の指導方針を練り上げています。
具体的な改正内容に触れる前に、有料老人ホームの定義を確認しておきましょう。
有料老人ホームとは・・・老人を入居させ、当該老人に対して「入浴、排せつ又は食事の介護」、「食事の提供」、「洗濯、掃除等の家事」又は「健康管理」の少なくとも一つのサービスを供与する施設(「老人福祉法」より)
超高齢社会を迎え終の住処としてスタンダードになりつつある有料老人ホーム。今回の設置基準改正によって利用者やその家族にはどのような影響があるのでしょうか?
ポイント1:届出の促進に向けた規定の適正化
標準指導指針で決められている施設の廊下幅や居室の広さは、絶対条件ではありません。ですが、この基準を満たすのが難しい小規模な施設では、こうした設置基準を義務だと解釈しているところもあります。そのため、一部の施設では運営許可が下りないのを恐れて無届けのまま運営しているのが現状。
今回の改定では、基準を満たしていなくても代替案や将来的な計画を示すことができればOKにということが盛り込まれました。建物の構造の基準は「義務」ではなく「推奨」ということがはっきり示されたのです。これで届出せずに運営を続ける有料老人ホームが減ることが期待されています。
ポイント2:外部サービスを利用者が自ら選択できる環境の構築
現在の有料老人ホームでは「医療・介護等のサービスの自由な選択と決定を妨げるような囲い込みが行われている」との指摘がされています。そこで、今回盛り込まれたのは次の2点。
これからは、外部サービスを頼む介護事業所を決める際、入居者の意思で決めやすくなります。
ポイント3:サービス付き高齢者向け住宅の取扱いの見直し
サービス付き高齢者向け住宅は、厚生労働省ではなく国土交通省が管轄しており、基本的には一般賃貸契約扱い。高齢者向けの賃貸マンションといったところです。ですが実際には有料老人ホームに該当するサービス(食事の提供など)を行っている住宅がほとんど。
そこで、今回は「老人福祉法の規定において有料老人ホームに該当するものを、標準指導指針の対象に追加」することになりました。これでサービス付き高齢者向け住宅であっても有料老人ホームの定義に該当するサービスを行っている施設であれば届出が必要となります。
今回の改定の目的の1つは「無届け老人ホーム」を減らすこと
現在、全国に1000近くあるとされる無届け老人ホーム。
今回の設置基準改正ではより積極的に届出を行えるような規制緩和と、より広く施設を把握できるよう有料老人ホームの解釈が拡大されました。これで無届け老人ホームが減り、入居者の方が安心して暮らせる施設が増えてくことを期待したいですね。
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この記事の寄稿者
ポッポ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。