増える廃校、有効活用への取り組み
文部科学省の調査によると、少子化の影響や市町村合併に伴う統廃合などにより、平成15年度以降の公立校の廃校数は毎年400校を超えているんだとか。
そんな中、文部科学省は廃校施設の活用のため「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」を立ち上げました。利用者や活用方法を募集している廃校施設の情報を公表し、活用ニーズとのマッチングを行うというもの。
では、実際に廃校を老人ホームとして活用しているケースを紹介しましょう。
住宅型有料老人ホーム「おうるの郷」 ~北海道新冠町旧新冠町立東川小学校~
明治43年開校という長い歴史を持つ新冠町立東川小学校。平成20年に廃校となりましたが、翌年には小学校再生利用事業で住宅型有料老人ホ-ム「おうるの郷」として生まれ変わっています。こちらは平成22年には特別養護老人ホームなどを加えた総合介護施設となり、地域に密着したサービスを提供しています。
養護老人ホーム「夕張みどりの園」 ~北海道夕張市旧のぞみ小学校~
夕張市の学校統廃合で廃校となった旧のぞみ小学校。平成26年からは養護老人ホーム「夕張みどりの園」として活用されています。老朽化が進み移転先を探していたこちらのホームが、夕張市からの無償譲渡を受けたという形。ホーム理事長は、「卒業生の思いがある施設なので、地域と連携したい」とコメントしています。
介護付き有料老人ホーム「明和ふれあいガーデン」 ~栃木県那須烏山市旧東小学校~
こちらの老人ホームを作ったのは、なんと地元の住職さんたち。那須烏山市の高齢者の割合は、県内でも4番目に高い約30%です。「市内の老人ホームはどこもいっぱいで困っている。」という檀家さんの声を聞き、5つのお寺の住職さんたちが資金を出し合いました。建設費はおよそ3億円かかりましたが、旧東小学校の校舎を利用したことで同規模の施設より1億円ほど安くできたのだとか。地元で介護を受けられるなら、ご本人も家族の方も安心ですよね。ホームではこの小学校の卒業生も働いているそうです。
廃校施設の活用と介護施設不足という2つの問題が改善できるこの取り組み、那須烏山市でも歓迎しています。何より、過疎化と高齢化に悩む地域の人たちにとって明るい材料になったのではないでしょうか。
規制緩和で廃校を再利用しやすく
政府は廃校などを再利用しやすくするため、古い建物の用途変更に対する規制を緩和する考えです。阪神大震災などの大規模災害以降、建築基準は厳しくなりました。古い建物を再利用する場合はそれをクリアするための改修費がかさみ、転用のネックになることも。地方自治体からは、できるだけ早い規制緩和を望む声があがっています。
これからますます必要になる老人ホーム。安全であることはもちろんですが、今ある施設を利用してできるだけ多くの人がサービスを受けられるようになるといいですよね。
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この記事の寄稿者
ノック
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。