介護がいらない人も少なくない
多重介護や介護疲れ、介護うつなど、ネガティブなワードがやたら目立つ介護の世界。実際に介護を経験した方はもちろん、まだ未経験の方も「介護が楽しい」という印象を持っている方は残念ながら少ないでしょう。
現在、日本人の平均寿命と健康寿命の間には10年の開きがあります。長生きする方が増えたのと同時に、寝たきりやそれに近い状態で長期間過ごす方も増えてきています。本人も家族も決してラクではない「介護の長期化」問題は、近頃よく取り上げられるようになってきましたね。
ところで、逆にまったく介護の必要がなかったという方も少なくないのはご存知ですか?介護経験者の中には、正直なところ「うらやましい」と感じる方もいるかもしれません。でも実際にはそんな「介護いらず」だったご家族が、複雑な思いを抱くこともあるようです。
同じ「突然の死」でも…
全くの介護いらずだった、というケースでまずあげられるのが「老衰」。突然の出来事で家族は驚き戸惑うことにはなりますが、ほとんどはかなりご高齢の方。家族も「長生きしたのに最後まで元気で介護いらずだった」と思えそうですよね。
ただし、高齢者の死因で上位にあげられる「脳血管性疾患」や「心疾患」の場合、家族の心境はいたって複雑。これらの病気は、ある日突然発作を起こしてそのまま亡くなってしまうというケースもあります。ついさっきまで元気だった人が、突然帰らぬ人に…。そんな時、介護をしなくて済んだとホッとするご家族はいないでしょう。むしろ「どんな形でも生きていて欲しかった」と思う方が多いはずです。
長期間の介護生活、たしかに家族にとって大きな負担だけど…
いくら心を込めて介護をしても、普通の病気のように時間がたてば良くなるわけではありません。ますます体の自由もきかなくなり、意志の疎通も難しくなってくるでしょう。ですが、そんな姿を見ているうちに「最期のとき」を迎える心の準備もできてくるものです。
一方、突然家族をなくしてしまった場合はそうはいきません。悲しみや驚きにくわえ、「もっと話しておけば良かった」「もう少しいたわってあげればよかった」という後悔。人間の体は思いのほか繊細なものです。精神的なストレスはやがて体まで蝕んでいくこともあります。
最期の時を迎える準備は、家族にも必要
最近は家族に対する「グリーフケア」の重要性が注目されています。いわば介護も1つのグリーフケア。家族の死に向き合う心の準備をする大切な時間なのかもしれません。どうやら、「介護いらず」が家族にとって必ずしも良いとは限らないようですね。
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この記事の寄稿者
ポッポ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。