インタビュー

個人の家を地域の人が集まる場にする。「こまじいのうち」のやり方

「こまじいのうち」のマスター秋元さんと文京区駒込地域活動センター所長の三縄さんにお話を伺いました!

こまじいのうち 自宅の使っていないスペースや、もう住まなくなった家を、地域の人が集まってくる場所にできないかなと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな夢を実現した「こまじいのうち」のマスター秋元さんと文京区駒込地域活動センター所長の三縄さんにお話を伺いました!

こまじいのうちは、「駒込のおじいさんち」

こまじいのうち ―文京区駒込地域活動センター所長の三縄さんとマスター秋元さん

【工藤】「こまじいのうち」とはどんなところですか?

【三縄】高齢者から若いお母さんと子どもたちにぶらりと来て、ゆっくりくつろいでもらう場、情報交換の場、みんなの居場所としてオープンしています。
去年の5月に実行委員会が立ち上がって、その時に駒込の「こま」とおじいさんちの「じい」で「こまじいのうち」と名付けました。主催は駒込地区町会連合会ですから、秋元さん含めておじいさんばっかりですので(笑)

【工藤】「こまじいのうち」ができたのはなぜですか?

【秋元】町会連合会の会議で、ぶらっと集まってお茶でも飲んでしゃべれるところがあったらいいなという話が出たらしいんですよ。で、うちの町会長が「あそこの家(秋元さんの家)が空いてるんだったらどうだ」、ということで、(秋元さん自身が)「だったらいいよ」と。

【工藤】それで実行委員会が立ち上がったんですね。実行委員会はどんな方たちですか?

【三縄】社会福祉協議会の駒込地区担当の地域福祉コーディネーターが中心とて呼びかけました。これをやっていくにはいろんな人が関係したほうがいいだろうということで、民生委員、児童青少年委員、更生保護女性会や傾聴ボランティアをやってる人など、思いつくままに募って始めました。最初に多くの人を取り込んだということが、うまくいった要因だと思います。

プライベートな空間を地域に開放

こまじいのうち 【工藤】このお宅は秋元さんの持家なんですか?

【秋元】持家。私はここを相続したんですよ。でも自分の家が(ほかに)あるから、ここは空家というより、私のプライベートの空間として自分の友だちが来たら1杯飲んだりするのに使っていて。それの延長で地域の人も来てもらえればというのが始まりです。
(オープン)当時はこんなにプログラムもなかったから、こういう程度なら負担にならないし、いいかなと思っていたら、だんだん埋まっていった(笑)

【工藤】そうですか(笑)今はじゃあ、秋元さんは管理というか?

【秋元】そうそう。鍵の開け閉めとか。

【秋元】どっぷり浸かっているわけじゃないけど、みなさんとこうやってね、お話してるの楽しいよね。子どもたちが「じいじ!」と来たり、さ。

場所はあっても・・・人と資金の問題をどうするか

【工藤】今オープンして1年経っての課題はありますか?

【三縄】私の仕事は町会活動の支援や地域の課題解決の役割があり、この「こまじいうち」の立ち上げに関与してきました。また、社会福祉協議会の駒込担当の地域福祉コーディネーターが異動しちゃったりすると運営が難しくなるかなと。地域の中で「こまじいのうち」を運営してもらえる新しい人が出てこないと、うーん、という感じはしています。基本的な連絡・調整は社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターにやってもらってるんですよ。あと、予算的には東京都の「地域のそこ地力再生事業助成補助金」をもらっていて私が会計関係はやってるんだけど、そこらへんで人材が見つからない。難しいんだよね、やっぱり。

【工藤】そうですよね、これからこういう方が多く地域で出てきてくれれば。

【三縄】ボランティアの調整係として地域の方に役割をもってもらうなど徐々には移譲していっているけど、運営や会計など根本的なところでやってもらえる人がいないと難しいのかなと思っています。

【工藤】人的、場所、金銭的、いろんなもので成り立ってると思いますが、金銭的な部分はそれぞれのプログラムに金額が設定されているのが参加者の利用料ですよね?

【三縄】100円の参加料とかいただいてますが、それだけだとなかなか難しいですよね。町会の分担金や参加料など全部合わせると年間30万くらいで、あとはもう無償ボランティアさんで運営されています。

【秋元】それともう一つ、少しでも運営費の手助けということでボランティアの方で、牛乳パックを利用して椅子を作ってるんです。展示してると来た人が欲しいってなるわけだ。けっこう売れるんだよ、これ。

年間延べ4,000人が利用。飲食、台所利用も自由なのが利点

【工藤】関わる人はけっこういらっしゃるんですか?

【三縄】ここに来た人が今までで延べ4,000人くらいなんですよ。これは「こまじいのうち」に関わってもらったスタッフもカウントに入れてます。スタッフは1,000人くらいなりますが「こまじいのうち」は利用者とスタッフ関係がゆるやかな中で運営されていてスタッフが参加者になってしまうこともあります(笑)

【秋元】ここを利用していて「手伝わせて」と言う人もかなりいるんですよ。

【工藤】ここにこまじいのうちがあることで良かったことはなんですか?

【三縄】若いお母さんと子どもたちがけっこう来て、新たなグループが立ち上がったことです。(プログラムとは別に)月曜日に勝手気ままに集まって、それが何十人と来るんですよ。みんなの居場所「こまじいのうち」の本来の趣旨に沿った大きな成果です。

【工藤】1年でこれだけプログラムが埋められているということと、休館日でも利用してくださる団体が出てきてるのは目覚ましい発展ですね。

【三縄】すごいですよね。飲食が自由で、台所も使って利用者がお昼ご飯を作って食べている光景も目にします。とてもいいことです。

こんなにお子さんが来るとは思わなかったよ。

こまじいのうち 【工藤】ここを利用される方は高齢者からお母さんたちまで幅広いということですが、比率としてはどうですか?

【三縄】利用者の統計はとっていませんが、高齢者からお子さん連れのお母さんまでたくさんの人が来ています。

【秋元】こんなにお子さんが来るとは思わなかったよ。

【工藤】こういう「サロン」のイメージって、高齢者が多くて若い人たちが入り込めない。若い人たちも入り込めるっていうのはその地域にとっていいですよね。

こまじいのうちに来ないなら、逆にみんなで行っちゃおう

【工藤】今後こまじいのうちをどのようにしていきたいですか?

【三縄】運営費の問題はありますよね。(光熱費などの)固定経費をどうするか。地域の制度やシステムを使って運営していくのが一番だと思っています。

【秋元】こまじいのうちは、現状で十分(笑)みなさん楽しくやってくれているし。今話しているのは、ここへ来るのがイヤだという一人暮らしのお年寄りもいるみたいなので、じゃあそこへ遊びに行こうよと。こまじいのうちがあるからと誘っても来ないのであれば、逆にこっちから行っちゃおうよという。
地域の中には一人暮らしの高齢者で大きな家に住んでいてる人の家を活用して、「こまじいのうち」の出前をしてしまう計画もあります。

【工藤】そうすると、第二・第三のこまじいのうちができてくるかもしれないですね。

【三縄】この「こまじいのうち」は、多くの人が集り、地域のいろいろな情が寄せられていて、案件によっては、地域福祉コーディネーターの出番だったり、ごみ屋敷の問題では地域の人の手助けによって解決していくことなどもありました。今後も、「こまじいのういち」が地域の課題解決のためのきっかけづくりの場になればといかなと。

空き家を活用した小地域福祉活動の展開だからこそ、地域の人がぷらっと立ち寄りやすい居場所がそこにはある。どことなく、お爺ちゃんの家に遊びに来たかのような居心地の良さ。こどもの出入りが多いのもうなずけます。
こまじいのうちの運営に学生ボランティアや幼い子を持つお母さんが関わっているのもミソであり、若い人が居場所の運営に関わることで、場に活気が溢れ、新しく参加しようとしている方にとっての入口を広くしているような気がします。こまじいのうちのような場が、どの地域にも増えてくるといいですね。(工藤)
工藤裕也

この記事の寄稿者

工藤裕也

介護のほんねニュースの街角インタビュアー。主に小地域福祉活動を中心とした「草の根の活動」をされている方々にスポットをあて、ほっこりと温かみのある情報を発信します。

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