ハウツーものばかりではない、介護の本
「介護の本」といえば、介護食のレシピ本やケアの仕方、介護保険の手続きのあれこれなどのハウツーものを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ですが、実務的な情報満載の本ばかりではないようですよ。
芥川賞受賞作も!?意外に多い「介護」がテーマの文学作品
2015年夏、第153回の芥川賞に選ばれたのが羽田圭介さんの『スクラップ・アンド・ビルド』。実は介護がテーマの小説です。介護がテーマの小説は意外に多く、2004年にはモブノリオさんの『介護入門』も芥川賞を受賞しました。小説のテーマとして正面から介護が取り上げられたのは1972年、有吉佐和子さんの『恍惚の人』。当時は「介護」という言葉自体がなく、認知症も老人性の精神病と考えられていました。40年経った今、認知症に対する理解は進み、ケアも進歩しています。ですが、介護する家族の悩みや切なさに変わりはありません。介護に直面した家族それぞれが抱える問題が、その時代時代の小説の中で描かれています。
「あるある」が満載!母と娘の遠距離介護コミックス
『マンガ おひとりさまの遠距離介護けもの道: ハハとムスメのバトルあるある』たけしま さよ(著)
もともと一人暮らしをしていた著者。母が介護が必要な状態になったとき、同居ではなく遠距離介護というスタイルを選びます。週末、片道3時間をかけて140km離れた母の住むマンションに向かい、さまざまな用事をこなして自宅に戻る。著者がいない間の用事は介護サービスを依頼する、そんな10年に及ぶ遠距離介護の日々がマンガで描かれています。最近ではこの遠距離介護というスタイルも増えてきました。たけしまさんと母親とのやりとりに、共感することが見つかるかもしれませんね。
「在宅医療」という一つの選択に贈る2冊
『介護をはじめるときに読む本 家族のための在宅医療入門』浅井 真嗣(著)
「畳の上で死ぬ」。事故など不慮の死ではなく、家で穏やかな最期を迎えるという意味ですよね。病院で亡くなることが一般的な現代、なかなか「畳の上で死ぬ」ことができなくなっています。この2冊は、在宅医療の専門家が介護をする人たちに向けたメッセージ。在宅医療でどんなことができるのか、住み慣れた家で最期の時を過ごす本人と家族にはどんなメリットがあるのかなどが書かれています。
胃ろうの是非を問う、熱血!介護マンガ
2003年から連載が始まり、主人公の高校生が介護士の道を選び、成長していく姿を描いている『ヘルプマン!』。2014年から『ヘルプマン!!』と『!』が1つ増え、タイトルもパワーアップ!介護現場が直面するさまざまな問題を描き続けています。『ヘルプマン!! Vol.1』で取り上げられているのは胃ろうの問題。「胃ろうにすると二度と口から食べられない」という誤解を解きたいという強い思いがあったのだとか。きちんとリハビリやケアをすれば、また口から食べられるようになる、そんな希望を読む人にもたらしてくれます。
認知症の「みつえさんワールド」が愛しくて切ないコミックエッセイ
認知症の母・みつえさんを自宅で介護する息子のゆういちさん、そのモデルが著者の岡野さんです。みつえさんは脳梗塞で入院してから認知症が進み、グループホームで暮らすことになります。その間の日常や、症状が進むにつれて楽しそうに話す昔のことを描いた8コママンガには長崎弁が満載、懐かしい風景があふれています。決して綺麗事ではない介護ですが、記憶の彼方を自由に行き来するみつえさんを見ていると、ふっと唇がゆるむのを感じる1冊です。
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この記事の寄稿者
ノック
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。