「介護離職」はなぜ減らない?
総務省の調査によると、仕事を続けながら介護をしている人は約300万人。そんな状況に限界を感じて「介護離職」してしまう人は年間10万人ほどいるといいます(2013年時点)。
多種多様な介護サービスも登場し、育児・介護休業制度によって介護休業もとりやすくなった今。それでも「仕事との両立は難しい」と考えて介護離職する人が後を絶たないのは、どうしてなんでしょう?私たち自身ができる対策はないのでしょうか?
介護離職は法律や企業の努力だけでは減らせない
労働や介護休業に関する法律では、10人以上の社員がいる企業の就業規則に、介護休業(対象者・手続き・期間)の取り扱い、その間の賃金、短時間労働や時間差出勤などのルールを記載し、それを労働基準監督署に届けることを義務付けています。しかし、企業や法律がこのようなルールによって介護と仕事を両立できるようになっていても、職場の雰囲気によってはそもそも介護について上司に相談しづらいところもあるのではないでしょうか。そのため、「介護休業を取りたい」と言いだせないまま「隠れ介護」を続け…その結果、介護離職してしまうという方が少なくありません。
つまり、介護離職を避けるためには職場の雰囲気づくりがとても重要になってきます。そしてそんな雰囲気づくりをするのは、企業で働く私たち一人ひとりなのです。
もっと「介護」の話題をオープンにできる職場に
介護離職となれば本人には経済的負担が大きくのしかかるだけでなく、職場にとっても大切な働き手を失うことで大きなダメージを受けることになります。これからの企業には、そうした介護離職のリスクを理解し、上司が率先して介護の話題を口にできるオープンさが必要です。
最近では、出産や育児に関してはオープンに話ができる職場がだいぶ増えてきました。妊娠中の女性社員の体調を気づかうのはもちろんのこと、出産した妻を持つ男性社員が積極的に育児休暇を取れる職場などがメディアでも注目されるようになってきています。介護についても出産や育児と同じくらいオープンに話ができる雰囲気が求められています。
でも、出産や育児とは違い、介護はどうしても暗い話題になりがち。そのため部下や同僚に「親の介護」について聞くのもなんだかタブーという風潮。本人にとっても、「できることなら隠したい」「ぎりぎりまで黙っていたい」ことでもあるでしょう。そうした介護の特性を理解したうえで、いかに相談しやすい職場にしていくかがカギと言えます。働く側として自分で自分を守る努力も大切
企業の中には、「本来無給の介護休暇中も賃金を払う」「社内に介護専門チームを作る」など独自の取り組みを始めているところもあります。勤め先を選ぶときって、ついつい給与の高さや企業の将来性などに目が行きがちですよね。でもこれからは、介護に関するルールがどうなっているのかを調べることも大切。入社時に「介護に理解ある企業」かどうかしっかり調べておくことで、いつか介護が必要になった時に堂々と権利を主張し自分自身を守ることができるのではないでしょうか。
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この記事の寄稿者
ポッポ
介護のほんねニュースのライター。話題の介護関連キーワードの中から気になるトピックについて解説します。