笑顔のとってもステキな二女のママ 加藤さくらさんに、次女真心(まこ)ちゃんが福山型先天性筋ジストロフィーと診断された時から今までの気持ち、これからのことを伺いました。
"筋ジス"って診断されて、正直恐いって思った・・・
【岡】真心(まこ)ちゃん(次女)の病気がわかったのはいつ?【さくら】6ヶ月検診の時。1ヶ月と3ヶ月検診の時は異常ありませんって言われてたの。でもね、上の子を育ててきたこともあり、母親の勘でね、まだ首座らないから心配だったの。保健師さんとかは「ちょっと成長が遅いだけかもねー」ってことで、私も(長女の成長と)比較しちゃいけない!と思ってたの。でもさすがにおかしいと思って検診に連れて行ったら、お医者さんが「これは精密検査しましょう」ってことで、すぐに紹介状書いてくれて病院に連れていって。
【岡】その、筋ジストロフィーってわかった日は、、ビックリした?
【さくら】まービックリしたよね。多少悪い予感はしてた。なかなか検査結果が出ないのよ。そしたら、先生がいらっしゃって「旦那さんはいないんですか?ちょっとお伝えしたいことがあるので、旦那さんも呼んで頂けますか?」って。
【岡】おぉ...その時点で、めちゃくちゃどきどきするよね。
【さくら】でしょ。なんかこんな風景ドラマで見た事ある..みたいな。それで旦那に電話して、二人揃って説明聞いてほしいって言われたからって言ったら「なんか神妙な感じだね。」って、それですぐ来てくれて。それで、まーそういう部屋があるわけですよ。
【岡】相談室的な?
【さくら】そうそう。それで紙を渡されて。"筋ジストロフィーの疑い"って書いてあるんだけど、先生からは「脳とCK値を見る限り、間違いなく筋ジストロフィーでしょう」って言われて。私は病名を聞いてもわからなくて、まーどうにかなるだろ!って思ってたの。でもさ、今ネットで全部見れちゃうでしょ。部屋に帰って携帯でちょっと調べてみたの。その症状みたらなんか寿命とか書いてあるし、写真とかもあって、それを見たとき、正直恐いなって思ったの。自分の子がこうなっちゃうんだって。そんなネットの情報に翻弄され一晩寝れずに明けてね。次の日すぐに医大いきましょう!ってなってて、旦那も来てくれて、先生も来てくれて。
【岡】先生も来てくれたんだ!?
【さくら】そうそう。「昨晩は寝れましたか?」って心配して声掛けてくれたんだけど、寝れるわけないじゃないですか!って。それで、退院したそのままの足で医大行って「間違いなく筋ジストロフィーです」と止めをさされて、その時点で旦那も私も心を決めて、あ、そっか。病気なんだと。まだ全然受け止められたわけじゃないけど、現実なんだと。
病気がわかって・・・やっぱり自分を責めた
【岡】想像もつかないね...僕、子供いないからわかんないけど、どんな病気にせよね、病気だって分かった時どうなるの?【さくら】んー...私自身、今まで本当に平和で能天気な人生だったのよ。17歳の時に大失恋したのが人生で一番落ち込んだ出来事だったのそれまでは(笑)そこに突然やってきたの。しかも、自分が病気になるのとまた全然違うんだよね。(子供は)自分よりも大切な存在だから、自分だったらまだ腹括れたと思うの。なんだけど、子供ってなるとまず母親は自分のこと責めるでしょ。私のせいでって。そこからだったかな。
【岡】なんか、障害を持って生まれてくる、生まれてきた子の親に聞くと、、自分のことを責めてるって言う人が結構多いのね。でも...しょうがない、、、よね。責めても責めきれないというか・・・
【さくら】うん。答えが無い。まあでも、自分の事責めるのはある意味正常ルートだと思うの。なんだけど、そこだけに執着しちゃうともったいないんだけどね。でもそこは通る道だなと思ってて。何かしら自分がそういう遺伝子とか持ってたから子供がそうなったと思っちゃうよね親は。
真心がいつも笑顔だから、この瞬間を見逃しちゃダメだ!って思った
【岡】まーそんな我が子の病気をね、そんな笑顔で話してくれる人、僕は初めて出会ったんですけど(笑)それがさくらちゃんのすごいとこだと思ってまして。【さくら】あのー、これでも・・なんて言うんでしょうね。言葉が見つからないんだけど一応それなりのものは超えて来たんで。今でもまだ能天気な人生が続いているわけではない(笑)
【岡】あーなるほどね。乗り越えた後の笑顔みたいなね。
【さくら】そうそうそう。
【岡】自分の中でさ、第一弾の衝撃的なヘコみみたいのがあってから、みんなで支えていこう!みたいに、なんか(乗り越えていく)段階みたいのがあるのかなーと思うんだけど、そういう時って大きなきっかけみたいのってあるの?
【さくら】あー・・・なんかね。これ!ってのは無いんだけど、、今でもやっぱり、フッとした瞬間にセンチメンタルな気持ちになることがあって。今は抱きついたりしてくれるけどこれもできなくなるのかなーって。そんな時に必ず、今のこの瞬間、今のこの表情を見逃したらもったいない!って思うようにしてる。どうしてもね、まだ起こってない未来に不安になりがちなんだけど、あーいけないいけない!って思って真心を見ると、たいてい横でヘラヘラ笑ってるの(笑)もう、彼女のおかげだよね。
【岡】なるほどねー。真心ちゃんに救われてるってこと?
【さくら】救われてる!だってもう忘れちゃうもん、病気だってこと。心はめっちゃ普通だもん。
【さくら】私のエゴで歩かせたい!とか、こうしたい!とか思うのはいっぱいあるんだけど、でも彼女の意思というか、彼女が本当に歩きたいと思ってるんだったらサポートはするけど、今の現状ですごい幸せそうだったら(私が)躍起にならなくてもいいかなーと思って。
【岡】これはどの病気でも言える事だと思うんだけど、情報が無いしコミュニティーが無いから、家族だけで考えてやっていかなきゃならない感じだよね。その人たちのために情報がオープンになるためにはどうしたらいいんだろうね。
【さくら】ねー。それはね。今回(私たち)家族会作ったんだけど、そんな家族会があることさえも知らない(同じ状況の)家族もいるわけでしょ。となるとネットもそうだし、やっぱり行政。それこそ検診とか、必ずみんなが通る道があるじゃない、行政のプロセスの中で。そこで何かしら(情報を伝える)サポートをしてくれたらみんなの所に行き渡るはずなんだよね。
【岡】そうだね。ほんとそれってさ、どの障害でもどの病気でもそうだよね。なんか僕も色々な障害とか病気を持ってる子の家族に会うんだけど、僕が勝手に思うことがあって。その人たちの(社会に対する)役割ってすごいある気がしてて、その人たちが経験した道を、別の家族が同じく通ることだってあるじゃん。なんかさ、その子が生まれて、自分が生きているってことだけでその次に生きる人たちの力になるっていう、そのこと自体がすごい価値だと思う。
真心が、家族の絆を繋いでくれてる
【岡】なんでそういう話したかって、映画(えがおのローソク)を作って、一回上映するごとに数十人、数百人の人に伝わって、それが拡散していくじゃん。(情報を発信するために)あの手段を取ったさくらちゃんはすごいと思った。【さくら】あれね、たまたまお話頂いたからありがたかった。でも最初はやっぱり考えたよ。全部さらけ出すことになるでしょ(笑)あと、批判とかも出てくるだろうなって。私の家族も全員出演してくれることになってたから、その誰かに批判とかがいった時に私責任取れないなーと。と思ったけど、でもね、家族全員が真心の存在をすごく大事に思ってくれてて、この子が生まれて病気がわかったことで、なんか家族みんなで旅行するって機会ができたのね。お父さんもそのために頑張ってお金貯めてたり(笑)その家族の絆を繋いでくれてるのは、真心の存在なんだよね。真心がいるから生き甲斐があるみたいな。義父とかも最近、「俺が頑張って生きて(真心を)抱っこし続けなければ!」みたいな。だから、家族もこの子のためならば!みたいな思いで出演してくれたんだよね。
【さくら】私ね、できれば日本中のみんなに真心に触れてほしいんだよね。でもそんな時間も労力もないから、映画を通して疑似体験でもいいから「あ、なんだ普通の人間じゃん!」って思ってもらえたらいいなと思ってる。すごい最近思うのは、あのー、車いす。最初はさ、あーなんかかわいそうな乗り物って思ってたの。でも真心のおかげで(認識が)ガラリと変わったよね。もう喜びの乗り物でしかないわけよ(笑)めっちゃ嬉しそうにガーガーって。どこでも好きなところに行けるでしょ!みんなにもそういう風に思ってもらえる、そんな世の中になったらいいなーって。そういうのもあって、映画の中で真心が意気揚々と車いすをこいでいる姿を見て頂くことでみんなの価値観が変わってくれたらいいなーって思ってる。...(2/2)へ続く
次週、「この子が家族の絆を繋いでくれた。」福山型先天性筋ジストロフィーの子を持つ母へのインタビュー(2/2)配信予定!!
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この記事の寄稿者
岡勇樹(NPO法人Ubdobe代表理事)
介護のほんねニュース初代編集長。1981年 東京生まれ。3歳〜11歳までアメリカ・カリフォルニア州で生活。27歳で高齢者介護と障がい者支援の仕事を始め、29歳で医療福祉・音楽・アートを融合させた「NPO法人Ubdobe」を設立。近年は厚生労働省 介護人材確保地域戦略会議の有識者やNHK出演など多岐に渡る活動を展開中。(http://ubdobe.jp)