寄稿

介護離職を救う保育園的発想

介護される人、その家族、そして国にとっても幸せな仕組みづくりとは?

介護離職を救う保育園的発想

目指したい社会

どんな超高齢社会を、日本は目指すべきか。ちょっと極端ですが、こんな考え方はどうでしょうか?
新しいアイディアを考えてみました。

◆提言
日本が迎える超高齢社会においては、「子供が親の面倒を見る」という常識を改めるべき。
子供は親の精神面での寄り添いに注力し、物理的介護や専門領域はプロに任せ社会全体の負荷を軽減する。
具体的には、保育園的介護活用の仕組み作り。仕事を持って働く人のための介護の仕組みを導入してはどうか。

直面する介護の実態

日本の超高齢社会の特徴は何か。
高齢者比率の上昇はもちろんありますが、それだけでなく定年退職後の余命の伸びと都市化の進展による独居・高齢世帯の増加が特徴です。つまり、一人あたり高齢者の増加に加え、支える時間の長期化と対象の別居状態が、新たに負担として加わってくるのです。長い時間、一人暮らしの高齢者を支えなければならないということです。

単に支えるべき人が増えるだけでなく、一人当たりの介護の量も時間も増える。
それがこれから我々が直面する介護の実態です。

家族が見るというルールが成立しなくなっている

ところが日本では家族が親の世話をすることが、いまだに常識です。
ようやく介護サービス自体は一般的になってきました。(それでも地方などでは、「あそこの嫁は介護サービスを使っている」などと陰口をたたかれるということが、まだあるようですが)

昔は子供が働き盛りのうちに数年で親が亡くなることが多く、介護が長期化することもなかったのでしょう。また、同居していたため、家庭の中で世話することも可能でした。世話をするのも専業主婦という社会資源を利用することができました。(お話を伺うと、主婦の方が壮絶なスケジュールで介護をされていたことなどよくあります)。

今後は、共働き世帯が標準となり、親が離れて暮らすケースも多くなるため、個人が世話できる範囲を超えます。夫婦であれば、片方の親は近くにいても、もう片方の田舎は遠く、というケースは非常に多くなってくるでしょう。
言い方を変えると、「長男の嫁が面倒を見る」というルールが成立しなくなってきているのです。

介護で仕事を辞めざるを得ない家族

最近になって介護離職の問題が叫ばれつつありますが、こうした背景が元で、仕事をつづけながら介護をすることが無理な世の中になっているのです。
まさにこれから爆発的に問題は深刻になっていくでしょう。
単純にいままでよりも高齢者が増えるから介護離職しなければならない人が増えているわけではありません。
男性も介護をしなければならない、しかもその親は自分の職場から遠いところに住んでいる、その為に離職が必要となってくるのです。

そもそも自分の親が老い、認知症になっていく姿を直視しながらの世話は大変な精神的苦痛です。
また本来、高齢者の世話は専門性が求められる。家族以外の専門家が行った方が、介護を受ける方にとっても望ましいのです。
家族は、家族にしかできない精神面での支援に注力をすべきではないでしょうか。
本当は優しい言葉をかけるのが家族の仕事なはずが、介護でストレスが溜まって本人に辛い言葉をぶつけてしまう・・・
介護の現場ではよく聞く話です。

介護のプロと家族が役割を分担する

さて、では介護を充実させるということになりますが、そうすると当然、財源はどうなるという話になると思います。
今の段階ですでに介護保険がパンクするという話なのに、これ以上サービスを手厚くしてどうするのだ、と。
しかし冷静に考えてみれば、人間が人間の世話をするのを誰がやるか、という話ですから答えは単純です。
そう、役割分担すればいいのです。

家族がサービスを使うことで介護から解放されるのであれば、その時間を使ってほかのことで国に富みを生み出すことができるはずです。仕事をするのです。
もちろん介護サービスをただで受けてその間パチンコに行ってはいけません(たまにはよいです)。

保育園と同じですよね。
保育園は原則として共働き夫婦のための、両親の働く時間を確保するための場所です。プロが集中して多くの子供を見れるから、その間保護者が生産的な活動を行える。
子供の世話は自分の子供であってもかわいいわけですが、親の世話については自分の親でないほうがやりやすいわけですから、預ける方もハッピーになれます。

保育園のように家族が働いている人が優先のサービスがあってもよい

であれば、保育園と同じように、働く人だけが優先して預けたり世話を受けさせたりできる介護施設やサービスが、あってもいいのではないでしょうか?
これは保育園のようなデイサービスを作るということではありません。
働く家族が利用できる介護サービスを作ることで介護離職を減らそう、ということです。
あるいは受けられる介護の上限を、家族の就労状況に応じて設計する。

そんな働く家族目線での介護の仕組みであれば、追加される介護に相当する時間は、働く時間に充当されるため、国家収益的には長期的に中立にできるはずです。

実は、家族目線では介護サービスは作られていません。
当たり前ですが介護を受ける方は一人の独立した人格で、身寄りのないかたもいるわけです。今の仕組みは高齢者ご本人が受けるサービスとして出来ており、「家族」の目線では作られていないのです。

このまま行くと間違いなくパンクするといわれている介護制度。そんな視点から、見直してもいいのではないでしょうか。

この記事は株式会社こころみのブログを元に加筆・修正しております。
  • 子供が親の世話をしない社会を目指せ

  • ― 株式会社こころみは、離れた親を持つお子様のため、見守りサービス「つながりプラス」を提供しております。
    http://tsunagariplus.cocolomi.net/
    神山 晃男

    この記事の寄稿者

    神山 晃男

    1978年生まれ 長野県伊那市出身
    慶応義塾大学法学部政治学科卒業。
    コンサルティング会社を経て、アドバンテッジパートナーズにて投資ファンド業務に従事。
    2013年に株式会社こころみを設立、一人暮らし高齢者向け会話型見守りサービス「つながりプラス」事業を展開。
    Twitterアカウントは、@akiokamiyama

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