新しい患者の医療搬送のかたち「ドクタートレイン」
日本では2011年3月に九州新幹線に導入された「ドクタートレイン」をご存知ですか?新幹線を利用して患者を運ぶというもので、一刻を争う患者などを医療搬送する新しい手段として注目が集まっています。
移動のスピードこそドクターヘリには劣りますが、ドクタートレインならではのメリットも。今回はそんなドクタートレインについて紹介していきます。
ドクタートレインってどんなもの?
九州新幹線で導入されているドクタートレインでは、新幹線内にある「多目的室」を搬送に利用します。多目的室は通常、体の不自由な人や授乳目的の人が優先的に入室できる個室で、利用には車掌の許可を得ます。ドクタートレインとして利用する場合も同じく、原則としては2日前からの予約が必要。とはいえ、緊急性のある場合などは対応できるケースもあるようです。
通常の乗車料金と同じ額を支払い、最寄りの駅に申し込みを行います。多目的室は通常の座席よりも広く作られているため、ストレッチャーや酸素ボンベなどの医療機器を持ちこむことができます。医師や看護師がかならず同伴しますが、ドクターヘリのように車内で治療や手術を行うことはできません。
悪天候時や夜間でも運行可能!
ドクタートレインのメリットは、なんといっても運行しやすいという点にあります。スピード面ではドクターヘリにはかないませんが、ヘリコプターは夜間や雨天時の飛行が難しく、日没後の搬送ができないケースが多いというデメリットがあります。それから、着陸できる場所が限られていることも大きな課題です。
ドクタートレインでは、新幹線が定刻通り運行されていれば搬送できるので、天候の影響を受ける可能性がぐっと下がります。
搬送時間の短縮にも
それから、ドクタートレインは交通渋滞に巻き込まれることがないため、到着時刻を想定しやすく、患者への負担が少ないのも魅力です。鹿児島市内から博多まで、ドクタートレインならば2時間弱。車なら渋滞を考慮しない場合でも3時間半以上はかかるので、救急車やドクターカーと比較すると時間も大きく短縮できますね。
医療搬送の選択肢が増えることで、より高度な医療を必要としている患者の救命率アップが見込めるドクタートレイン。現在は九州新幹線のみでの運用ですが、今後広がっていくことに期待したいものです。
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この記事の寄稿者
シノヅカヨーコ
家事が嫌いなぐうたら主婦。25年2月生まれのムスメと夫の三人暮らしです。 子育てをしながら育児や暮らしにまつわる話題を中心にライターとして執筆活動をしています。