”家族の心を繋ぐ”サービス、つながりプラスの神山社長にインタビュー

インタビュー , つながりプラス , こころみ
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2014.09.18
株式会社こころみ 代表取締役 神山 晃男さん
一人暮らし高齢者向けコミュニケーション型見守りサービス「つながりプラス」を運営している神山さんに、サービスが誕生するまでの話、これからやってみたいことについて聞きました。

きっかけは、自分自身の課題と高齢者の方々のお話

【岡】サービスを始められたのはいつ頃ですか?

【神山】このサービスを開始したのは、今年の2月からですので、半年くらい経ちました。

【岡】このサービスの仕組みっていうのは、ある日ひらめいたみたいな感じなんですか?

【神山】じわじわできてきたって感じですね。きっかけは自分の両親でした。親が長野の田舎に住んでいて、兄弟は全員東京に出てきています。両親とも健在なので今はそんな心配ではないのですが、もし一人になったら相当心配だなって思い始めました。今は月に1~2回くらいしか電話してなくて、心配とはいえたぶんこのスタイルを大きく変えるのは難しいと感じています。ですが、親が一人になったら相当不安だろうなと。一方でそこを軽減してくれるようなサポートをしてくれるサービスは現在無いなと思ったのがきっかけです。

【神山】また、サービス検証をするために巣鴨とか団地に行って、歩いてらっしゃる高齢者の方々に声をかけた際の経験も、もう一つのきっかけです。まず声かける時点で怪しいじゃないですか(笑)でも皆さん断らずに立ち止まってくださるんです。さらに、皆さん話してる間にどんどん楽しそうになってきた。話したいという欲求がすごく溜まってるんだなと感じました。このニーズと、僕の実感した子ども側のニーズっていうのを組み合わせた形のサービス提供ってあるんじゃないのかなみたいなのが、だんだん出来上がっていった感じです。

コミュニケーターは担当制。電話の前に必ずお客様に会いに行きます

【神山】つながりプラスの特徴は、コミュニケーターが初回に必ず訪問することなんです。

【岡】電話する担当の方が?

【神山】そうです。訪問して顔見知りになった担当者が電話するんです。なのでお客様も安心感と信頼感を持っていただけます。ここが最大の特徴です。

【岡】実際、会話の中で多いのってどういう内容なんですか?

【神山】日常のよもやま話が一番多いです。「今日こんなことやった」とか、「あんなことやった」「こういうのが楽しみだ」とか。それが一番多いです。その他に昔話する人もいますし、息子・娘の自慢話とか、自分の子供はこういう感じなんだとか。

【岡】めちゃくちゃいいっす。息子側からしたら、うれしいですね。

【神山】そういうレポートをさせていただくと、やはり家族の距離は縮まりますね。また、レポートをきっかけに連絡しやすくなって、家族の間の会話が増えるんです。そこが一番喜んでもらえますね。 第三者に任せっきりにしてしまうのではなくて、第三者をきっかけに親子の関係が密に、今までより円滑になる。そんなサービスですね。

家族に癌を打ち明けるきっかけになれた時、思わず鳥肌が立った

【岡】今までで最高だったエピソードってありますか?

【神山】70歳の男性の方で息子さんがいて、そのご依頼を受けて始めました。今一人暮らしされてるお父様は体に麻痺があって、ちょっと不自由がありました。開始当初は、体が痛いっていう愚痴が多かったです。それが段々お話する内容が変わってきて、まさに息子さんの自慢話。息子がいかに素晴らしいよくできた息子だって話とか、世相を斬るみたいな話とかするようになってきて、全然話の内容が変わってきたと思ってたんです。そしたらちょっと前に、「この前、よく行く花屋さんがあるんだけど、そこの花屋さんの店員さんを誘って焼肉行っちゃいました」って。

【岡】え!すごい!そういうレポートを見て、息子さん何か反応とかあったんですか?

【神山】そうですね、メールくださって、「元気になったみたいでよかった」「こんな面が見れて面白かった」とご返信いただけました。ですが、その後しばらくして難しい問題が持ち上がったんです。お父様、病院に行って癌が見つかってしまったんです。我々サービスは基本的に”お話した内容をすべてご家族にお伝えします”っていうスタンスなので、そのままやろうとすると全部息子さんに報告するんです。ですが、お父様が「ちょっと待ってくれ」と。「このことについては自分の口から言いたいから」と言われたんですね。「わかりました。直接お話いただけるのであれば、このことはレポートに書きません」というふうにお伝えしました。我々はレポートに「お父様からお伝えを止められた内容がございます。というレポートをさせていただきました。そのレポートは他に「俺がんばるよ」とか、「俺も頑張って生きていかなきゃな」みたいなお話があってその上で、「お伝えできない話があります」っていうレポートにしました。直接はお伝えしてないのですが、それを受け取った息子さんとしては「これは何かあるな」っていうのを気づかれたようで、その後息子さんからお父様に電話したらしいんです。そしたら、その次のお電話の際に「いやー。よかったよ。あの後息子から電話かかってきたからスムーズに話が言えたんだよ」と言って頂けました。そのレポートみたときにすごいもう鳥肌立ちましたね。我々のような第三者が介在することによってご家族の関係がすごくスムーズに流れたので。

【神山】最近になって息子さんからのメールで、「昔は父親と結構衝突があったんですが、最近は何考えてるかわかるようになったので、腹は立たなくなりました」っていうメールを頂けました。

【岡】なんか手紙みたいな、というか普段面と向かって言えないことを伝えらえる手段ですね。今お話をお聞きしてて、働く側(コミュニケーター)もすごく人生経験が増していくようなイメージができました。色々な方の話を聞いて、「こういう考え方もあるんだ」とか、「こういう方もいるんだ」みたいに。その経験が働く側のコミュニケーション能力の向上に繋がっていくみたいな。・・・すごいですね。

つながりプラスの持つ情報が、より良い介護サービスを提供する後押しになるのでは

【岡】現場のヘルパー・看護師含め、施設とかで働いている方々は本当は高齢者の方と会話したいと思ってると思います。本当はもっと聞いてあげたい、ってみんな言うんですよ。けど、事務仕事等やらなければならない仕事が多く、それを叶えるのが難しい。それで、「本当はもっと高齢者の方の話を聞きたかった」と言って辞めていく子もいるんです。 。もしかしたら、つながりプラスのようなサービスはそういう想いで離職した介護職の方々の離職率を低減させることにも繋がるサービスになるんじゃないかなって思いました。

【神山】ヘルパーさんとしてはやっぱそういうお話をする人間が別にいて、その情報を共有できるってこと自体がプラスになるみたいなそういうところですか?

【岡】はい。根底の部分で、そもそもなんでこの業界に入ったかってところで、これがやりたいんですよ、このコミュニケーション!僕は介護業界に入って5年経つけど、いまだにこれができてない。それをやってくれる人がいて、その情報が共有されて「あーそうだったんだ。」っていう発見があると、ほんとに業界が変わりますね。

【神山】確かにご家族の会話のきっかけになるのと同じように、ヘルパーさんにとっても情報って同じくらい価値があって、情報の連携が取れていると、「昨日こんなことが楽しかったらしいですね」みたいな話ができたり「あの人の言うことはよくわかんなかったけど、こういう背景があって言ってたのね」とか。そういうのはすごいプラスになりますよね。

人と人を繋げるサービスになっていきたい

【早川】初回訪問してお話聞くと、やっぱりそれぞれの方にそれぞれの人生があり、すごいなぁと思います。初めてお会いして、亡くなった旦那様の話をぼろぼろ泣きながらしてくださったり、楽しかった頃の思い出話をしてくださったり。ほんと全部ドラマになるんじゃないかなっていう話ばかりなんです。

【岡】話を聞いていて、つながりプラスでたくさんの方々のお話をストックすることで、歴史的に、社会的に意味のある情報になりうるんじゃないかと思いました。今の僕らは戦時中の話とか祖父に聞いてるけど、これからの子ども達は聞けないじゃないですか。なので、僕らが聞ける間にいろんな話を聞いて、ひとつの事実、史実として残していくってこと自体にすごく意義がありますよね。

【神山】確かに。我々のサービスはご本人の気持ちを聞くので、「昔はこうだった」とか「食糧難だった」みたいな事実、史実だけではなく、その時にどう思ったか、どう感じたかという話を聞けますね。あとはお話していたら、実はご利用者同士が昔同じ場所にいた、とか。

【岡】すごいな。もうなんかわくわくしてきちゃいました。

【神山】それいいなあ。そういうこと、やりたいですね。そこまでの可能性があるというか。本当に人と人を繋げるサービスになっていきたいです。

いかがでしたでしょうか。つながりプラスは利用者と家族のためのサービスだと思っていましたが、神山さんのお話を聞き進めるにつれて介護に従事する職員との連携でさらなる可能性が見いだせる素晴らしいサービスであるということに気づきました。介護は介護職だけで行うものではありませんね!こういった民間のサービスとどんどんコラボして業界全体を盛り上げていきたいと思いました!(岡)
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寄稿者

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岡勇樹(NPO法人Ubdobe代表理事)

介護のほんねニュース初代編集長。1981年 東京生まれ。3歳〜11歳までアメリカ・カリフォルニア州で生活。27歳で高齢者介護と障がい者支援の仕事を始め、29歳で医療福祉・音楽・アートを融合させた「NPO法人Ubdobe」を設立。近年は厚生労働省 介護人材確保地域戦略会議の有識者やNHK出演など多岐に渡る活動を展開中。(http://ubdobe.jp)