インタビュー

介護福祉士はわたしの人間力を上げて、気持ちを輝かせてくれる仕事 介護福祉士 小泉美智子さんインタビュー!

お客さまからモテモテな介護福祉士、小泉美智子さん。2週間小泉さんといる間に80代おばあちゃんの認知症が改善された、など数々の逸話を持つ彼女に「モテモテの秘訣」をインタビューしてみました。

「今日はあなたなのね~うれしいわぁ~♥」
「今度はいつ来てくださるの?」
「小泉さんといると何でも話しちゃうよ」

お客さまからモテモテな介護福祉士、小泉美智子さん。 介護福祉士泉美智子さん 2週間小泉さんといる間に80代のおばあちゃんの認知症が改善された、など数々の逸話を持つ彼女に「モテモテの秘訣」をインタビューしてみました。

お互いにいい時間を心地よく過ごしたい。

【加藤】小泉さんの仕事はなんていうタイトルですか?

【小泉】介護福祉士です。介護福祉士と言っても、働く場所はさまざまです。施設、在宅、移動ヘルパー、保険適用の介護、自費の介護・・・etc.
私は介護ヘルパーを派遣する会社に登録しており、自費で介護を依頼するお客様のもとに出向くワークスタイルです。

【加藤】仕事をする上で心がけていることなどありますか?

【小泉】そうですねぇ、自分のコンディションを整えていきます。心にゆとりをもって仕事できるように。例えば、体調には気を付けていますね。それと、私は寝不足に弱いので睡眠時間は十分にとります。あとは、関わらせていただいてありがとうという気持ちがあります。お客さまも自分もせっかく一緒に過ごす時間だから、お互いにいい時間を心地よく過ごしたいと思っています。

※小泉さんは、“利用者”ではなく、“お客さま”という呼び方をされていました。

初めて聞いたかのように『聞く』こと。

【加藤】心地よく過ごすために、どのようなことをしているのですか?

【小泉】「こんにちは」と出逢った瞬間から、その方のワールドに入るんです。その方のペースに合わせるというか。話し方やスピードも合わせます。中には気難しい方もいてなかなか心を開かない方もいますが、無理にこじ開けようとはしません。あくまでその方のペースに合わせます。お客さまが話し始めたら、とにかく『聞く』ことに徹します。もちろん、見守りの時以外はお風呂やお食事、お着替えなど、ながら作業になりますが、作業をしながら聞きます。認知症の方は前にも聞いたことがあるお話しを何度もしますが、初めて聞いたかのように『聞く』ことをしています。おじいちゃんおばあちゃんにしてみたら初めて話している感覚ですし、こちらが一生懸命聞いていると“分かってくれた”安心感などからほっとした表情になって、瞳もキラキラしてくるんです。

【加藤】『聞く』というのは、具体的にどのように聞いているんですか?

【小泉】お客さまの目や表情を見ながらあいづちをしたり、「もっと聞かせて」と話を促してみたり。私の理解が合っているか確認しながら聞いていきます。そしてこんな気持ちですか~と確認することもあります。例えば「それはうれしかったですね」とか、「ツラいですね」「こんなふうにしたいんですね」と、その方の心に寄り添って聞くことをしています。こちら本位の聞き方ではなく、あくまでお客さまに寄り添って聞きますね。

おばあちゃんが心から笑った!

【加藤】『聞く』ことで、何か変化はありましたか?

【小泉】グループホームで転んで大腿骨を骨折し、病院に入院した認知症のおばあちゃんの介護をしたときのことですが、ケガしたことを忘れて歩こうとしてしまうので、いつも私が到着するまでナースステーションで拘束帯をつけて車イスに固定されたままでいたんですね。私は毎日お昼の12時から夜8時まで付き添っていました。もちろん看護師さんも忙しいので誰もおばあちゃんの相手をする人がいなく、初めて会った時は認知症の方によくみられる表情が不安そうというか、乏しいというか・・・そんな感じでした。でも、おばあちゃんの話を心に寄りそって聞いていくうちに、安心されたのか表情も明るくなりいろんなお話しをしてくれて、2週間ほど経った頃、娘さんと3人で病室にいて昔の家族の思い出話をした時におばあちゃんが心から笑ったんです!娘さんもビックリされていました。その方とは入院時だけのお付き合いでしたので、退院後はどうされているのか分かりませんが、娘さんは心から笑うお母さんを見て本当に嬉しそうでした。 介護福祉士泉美智子さん 【加藤】うれしかったでしょうね~。認知症が改善することもあるのですね。

【小泉】きっと、話しているうちに思い出していくこともあるんじゃないかな。そのおばあちゃん、何度も何度も「トイレにいきたい」って言う方で、その度に「トイレ行きたいんですね」とそのことは否定はしなかったけれど、たまに、「あっ!お洗濯しなきゃいけないの!一緒に手伝っていただけますか?」とか、「あっ!お買い物行かなきゃなんです。一緒に行ってくださいますか?」など、「一緒にXXする」という機会をつくって病室から出るようにしていたんです。すると意識がトイレから離れて「あら、いいわよ♥あなたも大変ね」と協力してくださいました。

困ったな、心配だな、など受け入れられないなと思う時。

【加藤】何度も同じこと言われると、困ることありますよね。でも、それを否定せずに環境を変えたり工夫をすることでほかに意識を向けることができるんですね。

【小泉】全てを受け入れる訳ではないんです。私も仕事とはいえ、自分の人生、自分の時間も大切に過ごしたいと思っていますから、困ったな、心配だな、など受け入れられないなと思う時はなるべくお客様のプライドを傷つけないように伝えるようにしています。

【加藤】今まで困ったな~と伝えたことはありますか?

【小泉】お客さまでお下の交換の時に、嫌がる方がいるんですね。そんな時は 「今はイヤなんですね。」とイヤだという気持ちを一度受け止めた上で、「さっき交換してから○時間経っているので、パジャマが濡れちゃうんじゃないかと心配なんです」と伝えます。そして一旦その場を離れて別のことをしてもう一度聞くと、たいがいすんなり交換させてくれます。無理強いは関係を壊しかねませんからね。時間がない時などは、お客さまが好きな話題、例えばお相撲などの話をしながらパパッと替えることもありますよ(笑)お客様がイヤな気持ちでなければOKですかね。

【加藤】ただでさえ自由が利かずベッドの上でストレスが溜まっている中で、心地よい時間が過ごせたらいいですね。自分にペースを合わせてくれるって心地いいだろうなぁ♥

【小泉】困った時だけではなく嬉しい気持ちなど肯定的な気持ちも自己開示しています。以前、60代の精神疾患の男性のADL向上のための介護をしたことがあります。その方は何度も転んだため歩行器を使っていたんです。でも、足がだいぶしっかりしてきたので、リハビリの先生からもそろそろ杖を使って歩けけるのではないかと言われていました。杖を使って歩ければ外に出られるようになるので、その時は4人態勢で交代で伺っていたのですが、ほかのヘルパーさんたちは男性を励まそうと「大丈夫、支えてるから!」や「そろそろ歩けるってリハビリの先生も言ってましたよ!!」と杖を持たせようとしていました。それはヘルパーさんたちの歩けるようになってもらいたい、外を散歩して元気になってもらいたいという必死な思いなのですが、男性はそう励まされるたびに頑なに固い表情を見せて歩こうとしませんでした。
私が担当の時はあえて『杖』について触れないでいました。その方のペースを見守ろうと思ったのです。するとある日、男性が「杖をとってください」と仰いました。私は杖を持っていき、いつでも支えられるよう一緒に歩いて見守りました。そして、歩き終えた時その勇気あるお気持ちに感動して「何だか嬉しいです」とただ気持ちを伝えたんです。すると、無口な方なので言葉には出さなかったけれど、照れ臭そうに嬉しそうなやわらかい表情をされました。心が通じ合ったような気がして、あたたかい時間でした。

介護福祉士になったのは、娘の一言が背中を押してくれたから。

【加藤】その男性も自分のタイミングで歩きたかったんでしょうね。ところで、小泉さんは、なぜ介護福祉士になろうと思ったんですか?

【小泉】介護福祉士になって約5年ですが、実は娘が幼い頃から(現在、娘さんは既に成人されています)福祉の仕事に就きたいなぁと漠然と思っていました。でも、生活のこともあり、子どもが大きくなるまでは会社勤めをしていたんです。そして、娘が成人し介護福祉士になることを周りに伝えると「え~大変そう!!」などネガティブなイメージばかりが聞こえてきたんです。でも、娘に「介護福祉士の仕事をしようと思う」と話したところ、「ママ、素晴らしい仕事だと思うよ」と言ってくれました。当時、娘が勤めていた美容院に毎月介護ヘルパーさんがおばあちゃんを連れてきているのを目の当たりにして、いい仕事だな~と思っていたようなんです。娘の一言が背中を押してくれました。そして、介護福祉士になった今、この仕事に対してネガティブなイメージを持つ世の中に介護福祉士という仕事が素晴らしいことを発信していきたいと思っています。

小泉さんは、介護福祉士のほかに、ゴードン博士のコミュニケーショントレーニング(以下、ゴードンメソッド)のインストラクターもしています。これまで登場した『聞く』『伝える』などの対応の仕方はまさにゴードンメソッドで培ったコミュニケーション力なのです!そのあたりも伺ってみました。

【小泉】娘が小学校1年生の時に、ゴードンメソッドに出会いました。学校に行くのを嫌がっていた娘のために藁にもすがる思いで参加した講演会がきっかけです。その講演会を聞いた時「あっ、いつか私もこれを伝える人になりたい!!」と思ったんですね。20年以上前の話です。ゴードンメソッドには親子関係、自己実現、看護・介護、教師学など様々な講座があるんですよ。あらゆる人間関係に効果的なんです。すべて人と人との関わりですからね。初めは親業訓練一般講座を受講したんですけれど、子どもの状態が落ち着いてとても手ごたえを感じましたね。そして、介護福祉士になり、親子関係だけでなく介護の中でもゴードンメソッドが役に立つことを身に染みて感じ、親子関係&介護関係で必要な方にゴードンメソッドを伝えていきたいと思い、インストラクターの資格をとりました。

介護福祉士とゴードン博士のコミュニケーショントレーニングのインストラクターの顔を持つ、小泉さん。地域の活性化のため、自治体とも積極的に関わり、老人施設と地域を繋げる企画などもされています。

【加藤】今後の意気込みを教えてください!!

【小泉】介護福祉士としてもっと知識と意識を高めたいと思っています。
また地域では、皆さんに介護をもっと身近なものとして感じていただけるような場づくりをして、地域みんなで『助け合い』『お互いさま』の仕組みをつくっていきたいと考えています。

小泉美智子 小泉美智子
介護福祉士/親業訓練協会インストラクター
介護の真っただ中で頑張っている人を応援しています!
『Smile can change this world』
Facebook: https://www.facebook.com/michiko.koizumi.16
ホームページ: 「心を通わせる子育て♥介護のしかた ゴードン博士の親業」 
ゴードンメソッドとは
アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が創案した『互いがわかり合い、信頼できる関係』をつくる具体的で実戦的なコミュニケーションの方法です。1980年に「親業」という本で日本に紹介されました。世界50ヶ国で50万人が学んでおり、日本でも12万人が学んでいます。ノーベル平和賞に3回ノミネートされました。
昨年、法務省保護局ではゴードンメソッドを取り入れ、青少年の更生のための「保護者のためのハンドブック」を作成しました。
加藤さくら

この記事の寄稿者

加藤さくら

親業インストラクター・心理カウンセラー・ Mom time to live your life 81 主宰。家族が出演するドキュメンタリー映画「えがおのローソク」では、次女の病気(福山型先天性筋ジストロフィー)を受けとめ前向きに生きる家族の姿が描かれている。
HP:「SakuraKato @ home」、子育て&活動ブログ

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